約 1,041,879 件
https://w.atwiki.jp/niconicomugen/pages/9131.html
江戸時代後期において、肥後国(現在の熊本県)に出現したという妖怪。 「アマエビ」ではないので注意。 新聞の4コマ漫画ではアマビエがアマエビと間違って伝わった結果、オチで甘エビの買い占めが起こったという回もあったりするが 当時の瓦版(ページトップの画像)によれば、 夜ごとに海が発光する怪現象が起きたため、土地の役人が調査に赴いた所、「アマビエ」と名乗る謎の生物が出現した。 アマビエは「当年より6ヶ年の間は諸国で豊作が続く。しかし疫病も流行するので、私の姿を描き写した絵を人々に早々に見せよ」と予言めいた事を告げ、 そのまま海の中へと帰って行ったとされている。 アマビエの絵は当の役人がその場で描いたものを写したもの、とされており、姿に関する記述は他に無い。 「アマビエ」の記録は上記の1つのみであるが、「アマヒコ」あるいは「アマビコ」と読める妖怪が、 隣国の日向国(宮崎県)や越後国(新潟県)に出現した記録が残されており、やはり「豊作や疫病を予言する」などの共通の特徴を持つ。 そのため、民俗学者であり妖怪蒐集家の湯本豪一氏により、 「実はアマビコを書き間違えたか聞き間違えた結果、アマビエが生まれたんじゃないか?」という見解が述べられている。 また、湯本氏はアマビエの他に、「神社姫」「人魚」「件(くだん)」など、 類似した逸話を持つ「予言する幻獣」を、「予言獣」または「予言と除災の幻獣」と名付けて分類している。 他にも、漫画家にして妖怪研究家であった水木しげる氏も、 時に不吉な予言をもたらすという西洋の人魚の伝承とアマビエの類似性を指摘しており、 「アマビエは西洋の人魚に近い種類」という見解を述べている。 一方で、西洋の人魚の予言の多くは不運の前兆のみであるのに対して、 アマビエは予言のみならず疫病への対策についても言及している点が、大きく異なる点だという。 水木御大の著書『日本妖怪大全』で「アマエビ」と思いっきり誤植されてるのは内緒だ! なお氏の代表作たる『ゲゲゲの鬼太郎』でもアニメ第5期にてレギュラーで登場している(声は池澤春奈女史)。 元の伝承では色に関する言及が無かったが、こちらでは「高飛車で我が儘な自称アイドル」という設定のためか、 ピンクのロングヘアーという目立つデザインとなっている。 この他には『地獄先生ぬ~べ~ NEO』にも登場している。 こちらでは「自身の姿を見た人間に、自身の絵を描く事を迫るが、あまりに恐ろしい姿のために見た人間は恐怖で凍り付いてしまう」 という恐ろしい妖怪であり、悪行が祟って海岸に封印されていた所、封印が解けて子供達を襲う。 ……が、恐怖に耐えて描き上げた郷子の絵があまりに下手過ぎたため、呆れて海に帰ってしまった。 出現事例が上記の一件だけという事もあってか、『ゲゲゲの鬼太郎』(しかも第5期限定)でのレギュラー出演以外ではぶっちゃけマイナーな妖怪であったが、 2020年の新型コロナウィルスパンデミックの際に「疫病退散のご利益がある*1アマビエ様の力を借りるために皆で描こう!」等の呼び掛けの下、 ツイッターなどのSNS上でプロ・アマ問わずアマビエを描いて投稿する「アマビエチャレンジ」により空前のアマビエブームが到来。 一気にメジャー妖怪の仲間入りを果たした。今回のMUGEN入りも、そうした流れの一環と思われる。 MUGENにおけるアマビエ 飯場半氏による手描きのアマビエが公開中。サイズはKFMの半分程度のちびキャラである。 氏曰く「MUGENではっちゃけてふざけたい」というコンセプトで製作されたのだそうな。 このキャラは妖怪拳法「水木拳」を用いて戦うという設定であり、徒手空拳の他にビームライフルやガンダムハンマーにミサイル、 あと何故か特撮ヒーローミラーマンの必殺技を用いて戦うキャラとなっている。……拳法ってなんだっけ? 超必殺技「アマビエ光線2020」では強力な光線を発射するが、頭身が小さいので空中の相手に当たりにくい。 また、某救いのヒーローのボイスを発したかと思えば、上記ミラーマンの声で「スライサーV!」と叫んでみたりとカオス。なんなんだこの妖怪。 AIは未搭載だが、IX氏による外部AIが公開されている。 ちびキャラ故に相性が出やすいが中々強く、隙の少ない飛び道具の「スライサーV」で牽制し、ゲージが溜まればアマビエ光線2020をぶっ放してくる。 2023年3月26日の更新では新たに「攻めスイッチ」が追加され、設定次第で積極的に近接戦を挑むようになった。 出場大会 「[大会] [アマビエ]」をタグに含むページは1つもありません。 *1 ただし「絵を見せよ」とは言ったが、見せたら何が起きるかは(疫病が収まるとは)言ってない、と言う指摘もある。 もしかして、予言が当たったら事を言い触らしてほしかっただけなのかも?
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/35.html
涼宮家の魅惑の夕食が終わり(今夜は和食、とっても大変そうな懐石風だった)、ハルヒがガリガリ引いたばかりの豆で入れたコーヒーを飲み、今度は俺たちがなんだか皿の上に乗せられているような心持ちだった。人生で起こることは、すべて皿の上でも起こる、と言ったのはだれだったか。 「うん、おもしろい」 ハルヒの親父さんが発した一声はこれだった。 「ひさびさに早く帰って来たら、夕食は魅惑の懐石料理で、その上願ってもないスペシャル・ゲストがいて、バカ娘までしおらしい、と来る。俺は今日のを最後の晩餐にしてもいいくらいの心持ちだよ、母さん」 「なんですか、お父さん」 「キョン君のふとんを敷いてやってくれ。今日は寝ずに語り明かそうな、なっ、キョン君」 「すみません。その前に、お話が」 「おお、何だろう? 俺の向かいにはキョン君がいて、その左隣にはうちのバカ娘。母さんはどこにすわるんだ?」 「もちろん、お父さんの隣ですよ」 「そうか。つまり2対2だな。何をやらかす気だ?」 常々ただ者ではないと思っていたが、なにしろ、この涼宮ハルヒの遺伝子供給元だ。いざ対面すると、一生のうちで条理に不条理の経験を加えても、体験したことのないような圧迫感。こういうのを字にするとまさしく「気圧される」と書くんだろうな、としばし思考を飛ばしていると、向かいからは見えない位置で俺の左手を握ったハルヒの右手の圧力が強くなり、俺を現実に引きづり下ろしてくれる。 「すみません、お話が」 「うん、そうだ。話だ。どうぞ、はじめてくれ」 という端から、となりのハルヒ母にこう話す親父さん。 「オラ、わくわくしてたぞ」 突っ込むため身を乗り出そうとするハルヒの右手を、今度は俺の左手が引きづり下ろす。耐えろ、ハルヒ。ここは耐えてくれ。 このメンバー、この配置、この状況では、時間は決して味方にならないと悟った俺は、玉砕覚悟の手に打って出た。ハルヒ、恨むならこの面子を恨め、空気を恨め、とりわけ立ちはだかるバカ親父を恨め。 「ハルヒのおとうさん!おかあさん!」 「「「(ごくり)」」」 「順番が違うのも、経験も力もさらには年齢も足りないのも、めちゃくちゃ勝手なことだということも、単なるわがままだってことも、承知してます。俺はいつも言葉が足らず、一番心を通わせ合わなくっちゃいけないハルヒとだって、いつも食い違って言い合いばかりしています。愛だとか好きだとか柄にもない言葉はほとんど言ってやれてないし聞いてもいません。でも、この気持ちだけは本当です。ハルヒにも、他の誰にも、本当だって言えます。ハルヒに、ただ、いつも、側に、いて欲しいんです」 「あたしも! あたしもこいつと、いつも、いっしょに、いたいの! ということで、キョンといっしょに住むから! 部屋ももう決めてあるの!」 「って、ハルヒ、まだ早い! って、いつ決めたんだ!」 「なによ、そこまで言っておいて、早いも遅いもないわよ! あたし、あんたの気持ちが聞けてうれしい。こうなりゃ行けるとこまで行くまでよ!」 「まて、ハルヒ。ヤケになるな。というか、ヤケになる状況じゃないぞ」 「ヤケになんてなってないわよ! 胸の高鳴りが、今すぐ走り出さないと、抑えられないだけよ!」 「そりゃ、焼け石に水、じゃないや、マッチポンプでもないし、ぬかに釘、じゃなおさらなくて、えーと」 「火に油か?」 「そう、火に油だろ!」 「すまんが、お二人さん……」 つぶやくハルヒ親父。 「ハル、キョン君。おすわりなさい」 ハルヒ母の一言で、室温が5度は下がった。アドレナリンは引っ込み、2人の血圧と血の気が一気に引いて行く。 「「は、はい」」 「あー、ごほん」 ハルヒ親父は咳払いをひとつ打つ。 「よくわからないんだけど、・・・いいよ」 「は?」「あの、親父?」 「つまり、なんだ、お互いに好き合ってるから一緒に暮らそう、誰の気兼ねなくエッチしよう、ということだろう?」 「いや、あのエッチとか、そういう前に」「こ、このエロ親父!」 「しないの?」 「い、いや、しないというか、したいというか」「何言ってんのよ、このエロキョン!」 「だったらすればいい」 とハルヒ親父は言った。 「14日間のクーリング・オフ期間も認めよう」 「は、はい」 「くれぐれも物わかりのいい親父だとは思わんでくれ。ただ、この手の件については、そりゃびっくりするくらい他人のことを、とやかく言えた義理じゃないんだ、おれたち」 「そうねえ」 いつになく真面目な親父さんと、いつものようにコロコロ笑うハルヒの母さん。 「但し、お試し期間であれ、借りそめであれ、一家を構えるんだから一人前と見なして、もう扶養義務は解除だ。君たちの甲斐性で生活したらいい。自分たちで稼いで、自分たちで使って、生きろ。といっても1日24時間だし、一生は何年か分からんが、時間の使い方は自分たちで決めたらいい。いつから一緒に暮らすかは、明日からだろうが高校を出てからだろうが大学出てからだろうが就職してからだろうが二人で好きにしろ。どこで暮らそうが、こっちには異存はない。まあ、多少はさびしいから連絡はしてくれ。俺からは以上だ。あと、母さん頼む」 「はいはい。お父さん、ああは言ってるけど、近くに住んでくれた方がお互い便利だと思うわ。子供も預かってあげられるし」 「「子供!?」」 「当然だけど、キョン君の親御さんにも了承を取り付けてね。これについては『心の中で応援』以上のことはやるつもりないわよ。まあ、ゆっくり考えて計画的に事を運びなさい。それと、最初に私たちに言ってくれてうれしいわ」 「あー、最後に一つ」 親父さんは、ようやく真面目な顔を解いて、にやりと笑った。 「結婚まで認めた訳じゃないからな。もっと自分磨いて出直してこい。二人ともだ。まだガキだから今日はこれくらいで済ましてやるが、今度は大人同士ガチとガチだからな。以上だ」 背中を向けたハルヒの親父さんと母さんに深々と頭を下げ、「上等よ!返り討ちにしてあげるわ」といきまくハルヒを引きずり、とりあえずハルヒの部屋へ退散した。 「ハルヒ、真面目に聞くが、おまえいくら持ってる?」 「貯金?○○くらいかな。あんたは?」 「◎◎円程度だ」 「むー、合わせても敷金で飛んじゃうわね。何に使ったのよ?」 「言いたかないが、主として市内探索でのオゴリだ」 「あたしも言いたかないけど、主としてコスプレ衣装及び不思議グッズよ。まあ自分の服とか何かもあるけど」 「バイトすれば何とかなるかもしれんが……」 「バイトにうつつを抜かせるような成績なら、あたしも家庭教師に毎日通ったりしないわよ」 「なるほど、これが現実の壁か」 「まったく総論(おもてむき)賛成、各論(じつのところ)反対なんて、大人のくせにずるい」 「ずるくはないさ。親父さんが何を言おうと結局直面してた壁だ。どうする? あとでこっそりお義母さんに頭下げて支援を頼むか?」 「冗談じゃないわよ。そんなの絶対ダメだからね」 「俺もそう思う。あそこまで言われたんだ、受けて立たないとな」 「わかってるだろうけど、とりあえず浪人は論外よ、キョン」 「ああ最短で受験は抜けないとな」 「大学に入れば、お互いバイトもできるし、こっちのものよ! そのためにもキョン! 明日からと言わず、今日からネジ巻いてガリガリ行くからね、覚悟しなさい!!」 「うわーん、母さん、あれでよかったのかなあ?」 「はいはい。決まってましたよ、お父さん」 「もう30秒長かったら限界だったぁ」 「はいはい。せっかく決めたんだから、泣くのはもう少し静かな声でね」 「ところでキョン」 「なんだ、ハルヒ?」 「あんた、どうせ気付いてないだろうけど、ひとつだけ名実どもに解禁になったものがあるのよね」 「は?」 「って、どりゃあ」 「うわ、ルパン・ダイブはよせ!のしかかるな!息をかけるな!」 「自分たちの甲斐性の範囲内なら何やってもいいのよ!」 「おしつけるな!かむな!しめるな!」 (昔懐かしいコメディ映画のアイリス・アウト:画面がハルキョンの顔に向かって黒くなってとじていく) ハルキョン家を探す その1 →ハルキョン家を探す その2 ハルキョン家を探す その3 ハルキョン家を探す その4 ハルキョン家を探す その5
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/578.html
今にして思えば、ハルヒのあの一言がきっかけだったと言えよう。 現在、俺は社会人二年目で、半年前からハルヒと同棲している。 ハルヒの一言によって今の関係が終わるとはこの時の俺には知る由も無かったのだ。 それはいつもの様に帰宅したある日の事だった。 「ハルヒ、ただいま」 「お帰りなさい、キョン。お疲れ様」 あぁ、ハルヒの笑顔があれば疲れなんて吹っ飛ぶね。 そのままベッドインしたくなるがそれでは雰囲気が無いのでここは我慢するとしよう。 俺は夕食の後、リビングでハルヒの淹れてくれたお茶を飲んでいた。 「あ、あのね、キョン、ちょっと・・・話があるんだけどいい?」 いつになく神妙な面持ちでハルヒが話しかけてきた。 「あぁ、構わんぞ。んで話って何だ?」 「うん。えっと、その・・・」 なんか、切り出しにくそうだな。 ハルヒは黙って俯いてしまっっている。 俺は頭の中で切り出しにくい話を検索していた。 検索結果・・・・別れ話・・・・・ なに!?別れ話だとぉ!! 「何言ってんの?あたしキョンと別れる気無いわよ?もし今度、別れようなんて言い出したら即刻死刑よ!!分かった?」 「あ、あぁ、分かったよ」 俺は心底ほっとした。思ったことをそのまま口に出してしまうこの癖はなんとかしよう。 「でも・・・キョンがどうしても別れようって言うなら・・・あたしは・・・」 あろう事かあのハルヒがしおらしくなっている・・・ 誤解されたままなのもあれなのでここはきちんとしておくとしよう。 「安心しろ、ハルヒ。俺は何があってもずっとお前の傍にいるよ」 「うん、ありがと。あのね、あたし・・・その・・・出来たみたいなの」 俺はハルヒが何を言ってるのか理解出来なかった。 「何が出来たんだ?懸賞のクイズでも出来たのか?」 「違うわよっ!!子供が出来たみたいって言ってんのよっ!!」 なるほどね、そうかそうか・・・って子供!?それ俺の子か? 「当たり前じゃないっ!!あんた以外に誰が居るってのよ!バカキョン!!」 また声に出ていて様だな・・・ 怒ったハルヒは俺の胸をポカポカ叩いている。 俺はハルヒを力一杯抱きしめてやった。 「ゴメンなハルヒ。俺、父親になれるんだな。ほんとに嬉しいよ」 「・・産んでいいの?・・・受け入れて・・・くれるの?」 「当たり前だろ」 「・・・だったんだから・・・」 「え?」 「ずっと不安だったんだから!!拒絶されたらどうしようってそればっかり頭にあって・・・キョンはそんな事絶対しないって分かってるのに・・・それでもやっぱり不安は・・・消えなくて・・・・・」 ハルヒの訴えに俺はハルヒを抱きしめる腕に更に力を込めた。 「今まで気付いてやれなくてゴメンな。明日一緒に産婦人科に行こう。その後ハルヒの両親の所に挨拶しに行こうな」 「挨拶って何の?」 「もちろん、ハルヒと結婚させて下さいって挨拶さ」 「ふぇ?キョン、今なんて言ったの?」 「ん?あぁ、ちょっと待ってろな」 俺はそう言って自分の部屋に向かった。 俺はクローゼットを開け、中に隠してあったものを取り出し部屋を出た。 リビングに戻った俺は未だにポカンとしているハルヒの前に正座した。 「ハルヒ、今までずっと俺と一緒に居てくれてありがとうな。思えば色んなことがあったよな。沢山デートもしたし喧嘩もしたな」 ハルヒはじっと俺の目を見て話を聞いている。 「本当に楽しかった。出来ればいつまでもこの関係を続けたいと思ってた。でも・・・」 俺は、ここで一息置いた。 なんせここからが本番だからな。 「でも?なに?」 「俺はこの関係を終わりにしなくちゃならないと今は思っている」 「!?」 ハルヒが自分の耳を抑えようとする。 俺はその手を握って続けた。 「これからは俺の彼女じゃなくて、妻になって欲しい」 「キョン・・・それって・・・」 「ハルヒ、俺と結婚してくれ」 「キョン!!あたしでいいの?あんたの事信じたいのに信じきれなかったあたしなんかでほんとにいいの?」 「あぁ、お前以外なんて考えられない。それ位俺はお前にゾッコンだ。それで俺のプロポーズをOKしてくれるか?」 「うん、喜んで!がさつでワガママなあたしだけどこれからもよろしくお願いします」 「俺こそよろしくな。でだ、済まないんだが少し左手を貸してくれないか?」 ハルヒはそれが何か分かったらしく、微笑みながら左手を差し出してきた。 俺はさっき部屋から持ってきた小さい箱から銀色に光るリングを取り出しハルヒの左手の薬指にはめた。 ハルヒはその指輪を見てニコニコしていたがそのままソファーで寝息を立てていた。 俺はハルヒをベッドへ運び、そのまま一緒に寝る事にした。 翌日、俺とハルヒは産婦人科へ向かった。 検査の結果は妊娠1ヶ月だった。 いやはや、早く産まれてきてほしいものである。 病院を後にした俺とハルヒは一度家に戻り正装に着替え結婚する事とハルヒが妊娠1ヶ月だった事を報告するため涼宮家に向かった。 インターホンを鳴らしたら何故か俺の母親が出迎えたりしてのだがそれは些細な事であろう。 そう思いたい・・・ 俺の母親のイジりもなんのそのでどうにか家に上がることが出来た。 「あらあら、いらっしゃい」 「今日はお話があって来ました」 「お願い、聞いて!!とっても大事な話なの!!」 「ふむ、聞こうじゃないか」 俺とハルヒは、ハルヒの両親に向かい合う様に座った。 「で、話とはなんだい?」 俺にはユーモアなんて無い。 だから直球勝負あるのみだ!! 「ハルヒを俺に下さいっ!!ハルヒとの結婚を許してくださいっ!!」 「これはまたストレートに来たな。また、どうしていきなりそんな事を言い出したんだい?何か理由があるのだろう?それを聞きたいね」 「実は、あたしキョンの子供を妊娠したの!!だからっ!!」 「ほう、つまり子供が出来たから結婚すると?そんな理由で結婚を許すと思ってるのかい?」 「お、お父さん!?」 「それは違いますっ!!確かにハルヒが妊娠した事で踏ん切りがついた事は認めます。でも、俺はハルヒが好きだから、ずっと一緒に居たいから結婚したいんですっ!!だからお願いしますっ!!ハルヒと結婚させて下さいっ!!」 「・・・キョン・・・・」 ハルヒはまた俺の手を握ってくれた。 「・・・っく、くくくっ、はぁーはっはっは!!いやぁ、若いな!羨ましい限りだ。いいぞ、二人の結婚認めようじゃないか」 俺とハルヒは呆気にとられていた。 「・・・え?ホントですか?いいんですか?」 「あぁ、幾らでも持っていけ!!」 「結婚して・・・いいの親父?でもどうして?」 「あぁ、いいぞ。もう長い付き合いだからな。彼がどういう人間かはよく分かっているさ。さっきのはちょっと試しただけだ。悪かったな」 「ハルちゃん、キョン君、これでやっと言えるわね。おめでとう」 「ありがとうございます」 「母さんありがとっ!!」 「キョン、やったねっ!!」 とハルヒが抱きついてくる。 「あぁ、一時はどうなるかと思ったけどな」 その後は、「キョン&ハルヒの結婚&妊娠祝い」と題された宴会に突入した。 正直、誰が主役なのかさっぱり分からん位に滅茶苦茶だったとだけ伝えておこう。 無事、結婚式の日程も決まり俺とハルヒはせっせと招待状を書いていた。 俺が仕事に行っている間に、ハルヒが俺の分の招待状も書いていてくれたので予想より早く終わった。 ある夜、俺は書きあがった招待状をポストに投函しに行った。 家を出る際ハルヒが「映画のDVDレンタルしてきて」と言っていたので、ハルヒに言われたDVDを無事に借り、帰宅している最中の事だった。 いつもの道を歩いているとなんとひったくりの犯行現場に出くわしてしまったのである。 ひったくりは女性からバッグをひったくると真っ直ぐこちらに走ってきたので俺はひったくりを捕まえようとしたのだが、走って勢いが付いていたひったくりのタックルを食らった俺はあえなく吹っ飛ばされてしまった。 あぁ、ダサいな俺・・・ 等と考えていて注意力が欠落していたのだろう。 俺は頭を電柱に思いっきりぶつけた。 衝撃と鈍い痛みが俺の頭の中を支配する。 全く・・・これじゃあ・・・・マンガのギャグキャラ・・だよな・・・・・ そんな事を思いながら俺の意識は薄れていった・・・ ・・・・・・・・・ 気が付くと俺は白い靄の掛かった所に寝っ転がっていた。 どこだ?ここは・・・ さっきまでの頭の痛みが全然無くなっている。 俺はここがどこなのか確かめるために立ち上がったら突然、俺の足が勝手に何かを目指すように動き出した。 な、なにがどうなってんだよ!? 何の抵抗も出来ないまま暫く進んでいくとトンネルの様なものが見えてきた。 コレイジョウイッテハイケナイ!! 俺の脳が危険信号を出してくるが今の俺にはどうにも出来ない。 トンネルに足を踏み入れそうになった時誰かが俺の腕を掴んだ。 振り返るとそこには見知らぬ少女が立っていた。 「こっち!!」 そう言って少女は俺を引っ張ってトンネルと逆方向に歩き出した。 「お、おい!?お前は誰だ?ここは一体何処なんだ?」 「あたしは××!ここはあの世よ!!」 少女の名前はノイズが混じったみたいに良く聞き取れなかった。 それよりこいつは今何て言った?あの世? あの世って俗に言う死後の世界ってやつか? なんてこった・・・俺は死んじまったってのか? 「まだ死んでないわ。あそこに足を入れたらアウトだったけどね」 「そうなのか?仮にそうだとして、お前は俺を何処に連れて行こうとしてるんだ?」 「もう着いた。さぁ、早く此処に飛び込んで!!」 少女が指差した先には地面にポッカリと大きな穴が開いていた。 「この穴は何なんだ?一体何処に繋がってるんだ?」 「そんなのいいからさっさと飛び込んで!!ホントに間に合わなくなる!!」 「な、何が間に合わなくなるんだ?ちゃんと説明してくれ!!」 「あぁ、じれったいなぁ!!さっさと行かないとホントに死んじゃうわよパパ!!」 そこまで言い切ると少女は俺を穴の中へと蹴り飛ばしやがった!! 「何すんだ!?こっちはまだ心の準備が出来てないんだぞ!!」 と言いつつも何かが俺の中で引っ掛かっていた。 「あはは、パパの意気地が無いのがいけないのよ!!」 「パパって・・・お前まさか!?」 「やっと気が付いたの?まぁ、いいわ。また会おうねパパ!ママが待ってるから早く行ってあげて!!」 そう言って笑う少女の顔がハルヒと被った。 俺はもっと何か言いたかったが穴の闇に飲まれそれは叶わなかった・・・ ・・・・・・・・・・ 「・・・・・キ・・・キョン・・・・早く・・・を開けな・・いよ」 誰かに呼ばれた様な気がして目を開けるとそこにはハルヒの顔があった。 「・・・よぉ、どうしたんだ?」 「アンタが寝ぼすけだから起きるのをずっと待ってたのよ!このバカキョン!!」 「そうか、俺はどれ位寝てたんだ?」 「丸1日ずっと寝てたわよ!!さぁ、この落とし前をどうやってつけてくれるのかしら?」 「そりゃ済まなかったな。ハルヒの好きな様にしてくれて構わないぞ」 「じゃあ、誓いなさい!!」 また主語が抜けている・・・ 「何をだ?」 「それ位自分で考えなさいよ!もう絶対にあたしを辛い目にあわせないって、一人にしないってあたしに誓えって言ってんのよ!!」 「あぁ、分かったよ。絶対にハルヒを辛い目にも1人にもしないって約束する」 「破ったら酷いんだからね、覚えておきなさいよ!!」 「あぁ」 その後の検査で異常は無かったのだが俺はもう一日様子見という事で病院で過ごす事になった。 いきなり約束を破る訳にもいかないのでその晩はハルヒと一緒に泊まる事にした。 その夜、俺はハルヒ曰く「寝てた」間の出来事をハルヒに話してやった。 当然ハルヒには「夢見過ぎなんじゃないの?」とか冷めた目で言われたけどな・・・ 翌日、無事に退院した俺はハルヒに手を引かれ家を目指している。 おっと、1つやり忘れていた事があったな。 俺はハルヒのお腹に手をあて一言呟いた。 「ありがとな」と。 そこから1ヵ月近く話が飛ぶ訳だがあまり気にしないでもらいたい。 ここ1ヶ月は特に何も無い平凡かつ平和な毎日だった訳で、これと言って話す様な事も無いのだ。 今日はいよいよ待ちに待った結婚式当日だ。 ハルヒはというと昨日から実家に戻っている。 花嫁は式の前日は実家に帰るものらしい・・・よく分からんがな。 こうして俺は今、ハルヒの居ない孤独感を味わいながら親の迎えを待っている。 あぁ、ハルヒに早く会いたい等と想いを馳せていると見覚えのある車が見えてきた。 その車が俺の目の前で停まると中から賑やかな人たちが降りてきた。 「やっほーっ!!キョン待ったーっ!?」 「おっはよーっ!!キョン君ーっ!!」 ホントに朝から元気だね、あなた達は・・・ 「おはよう、朝から悪いな」 「そんなの気にしなーい!!さぁ、さっさと乗りなさい!!主役が遅れちゃ話になんないわよっ!!」 「そうだよー、遅刻したら罰金なんだよー」 そう言って母さんと妹は俺を助手席に無理矢理押し込みやがった。 その拍子に俺は、頭をクラクションに思いっきりぶつけた。 ビビッーーーーーーーー!! 朝からこれじゃ先が思いやられるな・・・ 「ちょっとキョン、朝から近所迷惑じゃないっ!!しっかりしなさい」 「そーだぞー、しっかりしろー」 あなた達は一体誰のせいで俺が頭をぶつけたと考えていらっしゃるのかな? 俺が文句の1つでも言おうとしていると親父が肩を叩いて制止してきた。 「まぁ、言いたい事は分かるが、とりあえずシートベルトをして座れ。これじゃ発進出来ない」 「あ、あぁ、スマン親父」 親父にそう言うと俺は座ってシートベルトをした。 「それじゃあ、式場へ向けてレッツゴーーーーーっ!!!」 「ゴーーーーーっ!!!」 俺を乗せた車が式場へ向けて走り出した。 車内では俺の家族が新婚旅行について来るだの好き勝手言っていた。 流石に今回ばかりは謹んでお断りしたがな・・・ こんな事をしていたらいつの間にやら式場に到着していた。 車に乗る度に俺が鬱に入るような気がするのは、気のせいだろうか? 車を降りて入り口に向かうとそこに懐かしい顔が居た。 「よう、古泉じゃないか。久し振りだな、よく来てくれた」 そう、「機関」所属の超能力者、古泉一樹である。 「あぁ、どうもご無沙汰してます。本日はお招きありがとうございます」 「そっちは・・・相変わらずみたいだな」 「えぇ、そりゃもう。涼宮さんの力が無くなったからといって、対抗する組織が無くなる訳ではないですからね。今も毎日忙しくしてますよ」 「それはご苦労さんだな。スマン、迷惑掛けるな」 それを聞いた古泉は一瞬驚いた顔をしていたが、すぐにあのニヤケ顔に戻る。 「いえいえ、確かに力を授かってからは苦労も多いですけど、結婚式に呼んでくれる友人が出来たという事は人生においてプラスになってると僕は考えています」 「あぁ、そうだな。今日は来てくれてありがとな、楽しんでいってくれ」 「はい、そうさせてもらいます。本日はおめでとうございます。ではまた後で会いましょう」 「あぁ」 俺はそう言って古泉と別れ、控え室へと向かった。 控え室に着いた俺は、衣装さん数人に衣服を引ん剥かれ、純白のタキシードに衣装チェンジさせられた。 その際、パンツを一緒に引っ張られマイサンを室内公開してしまったというアクシデントがあったがこれは心の内にしまっておくとしよう・・・ そんな新たなトラウマと格闘していると誰かがドアをノックした。 「はーい、どうぞー」 ガチャ 「やぁ、キョン。おめでとう」 「おう、国木田。よく来てくれたな」 「おい、キョン!俺はシカトか!?」 「あぁ、谷口もよく来たな」 「まったく、折角来てやったってのにそれかよ?へこむぞマジで」 「あぁ、冗談だ。悪かったな」 本来ならここで終わるはずだったのだが、流石アホの谷口はこれで終わらなかったのである。 「しっかし、よくあの涼宮と結婚する気になったな。正気の沙汰とは思えんぞ」 国木田が制止しようとしたがどうやら間に合わなかったらしい。 気にするな国木田、お前はこれっぽっちも悪くないぞ。 「谷口、俺の聞き間違いだと悪いからな。もう一回言ってくれるか?」 俺はいつもより30%声を低くして聞いた。 これでいい加減気づけよ、谷口。 これで気づかなかったら、お前はホントに無能だぞ。 「ん?あぁ、あの涼宮と結婚するなんて正気じゃないと言ったんだぞ」 あぁ、だめだ・・・ 「・・・谷口よ、お前は祝いに来たのか?それとも俺にケンカを売りにきたのか?さぁ、どっちだ?」 「お前、頭大丈夫か?祝いに来たに決まってるだろ?」 「ほぅ、これから結婚する相手をわざわざ侮辱しに来るのがおまえ流の祝うという事なんだな?」 俺は、ゆっくり立ち上がり殺意を全て谷口に向けて放った。 そこまでして、ようやく谷口は自分が何をしたのか悟ったようで土下座しながら謝りだしやがったっ!! 地面に頭を擦り付けて謝っている奴をどうにかする程血に飢えている訳ではないので許す事にした。 「もういい。頭上げろ」 「許してくれるのか?やっぱ、お前いい奴だなぁ」 「ははは、キョンも大変だねぇ」 コンコン 「はい、どうぞ」 入ってきたのは式場の職員だった。 「失礼します。そろそろお時間なので準備の方をお願いします。準備が整いましたら外で待っていますのでお声をお掛け下さい」 「はい、分かりました。ご苦労様です」 「じゃあ、僕達は先に行くよ」 「じゃあな、待ってるぜキョン」 「あぁ、そうしてくれ。また後でな」 控え室への最後の来客が去りまた控え室に一人になった。 俺は鏡を見て、最後のチェックを済ませた。 よし、行くか!! 俺は外で待っていた職員さんに話し掛け教会へと向かった。 入り口で職員さんと別れ、入った教会の中は知った顔で満員御礼だった。 俺は不覚にも感動して泣きそうになってしまったのだがハルヒもまだ来ていないので、そこはぐっと堪える事にした。 深呼吸して自分を落ち着かせているとお約束のあの曲が流れ始めた。 そして教会のドアが静かに開いた。 そこには、おじさん・・・いや今日からはお義父さんだな。 お義父さんとハルヒが立っていた。 もう、さすがにクラッっときたね。 だってそうだろ? もともと綺麗なハルヒが更に綺麗になってるんだ。 もはや、これを形容する事は出来ないだろう・・・ 意識が遠退くのを必死に堪えているとお義父さんに先導されてハルヒが目の前まで来ていた。 「キョン君、娘を頼んだよ。幸せにしてやってくれ」 ここまできてもやっぱりその名で呼ぶんですね・・・ お義父さんがそう言い終わるとハルヒがお義父さんの腕から俺の腕へと腕を絡めてくる。 「はい、必ず幸せにしてみせます」 そう言うと俺とハルヒは祭壇へ向けてバージンロードを一歩一歩を確実に踏みしめた。 祭壇に着くまで俺の頭の中をハルヒとの思い出が走馬灯の様に駆け巡っていた。 思えば、あの日あの公園でハルヒと会わなかったら俺はどうなっていただろう? もし、ハルヒに会っていなかったらこんなにも幸せな気持ちになれただろうか? いや、これだけは断言できるが、絶対にここまで幸せにはなれていないだろう。 そして、俺とハルヒは遂に祭壇に辿りついた。 「汝ら、今日此処に永遠の愛を誓う者の名は○○○○、涼宮ハルヒに相違ないか?」 「「はい」」 「よろしい。では○○○○よ、汝は新婦涼宮ハルヒを妻とし、健やかなる時も病める時も永遠に愛する事を神に誓うか?」 「はい、誓います」 と答えたらハルヒに蹴りを入れられた。 ハイヒールの踵は痛すぎる・・・ なんで俺が蹴られにゃならんのだ? 「よろしい。では涼宮ハルヒよ、汝は新郎○○○○を夫とし、健やかなる時も病める時も永遠に愛する事を神に誓うか?」 「誓わないわ!!」 教会の中が一気にざわつく。 「おい、此処まで来ていきなり何言ってんだよ?」 俺の心は今最大級に冷や冷やしているのがお分かり頂けるだろうか? 花嫁が永遠の愛を誓わないって言い出して焦らない花婿は居ない筈だ。 「だって、居るかどうかも分からない神に誓ったって意味無いじゃないの!!」 また無茶苦茶を言い出したよ、この人・・・ 「それはそうかもしれないが、様式美ってあるだろう?」 「そんなの下らないわよ!!あたしが永遠の愛を誓うのはキョンだけなのよ!!そうでしょキョン?」 こんな恥ずかしいセリフを大勢の前で堂々と・・・・ もう、こうなったらハルヒに便乗するしかなさそうだ。 「あぁ、そうだな。俺も誓うならハルヒだけだな」 「って事だから、もう一回よろしくね!!」 等と神父さんに友達に気軽に頼む様に言い放った。 流石の神父さんも溜息をついている。 ホント、迷惑掛けてすいません・・・ 「で、では、汝ら健やかなる時も病める時も永遠に愛する事を互いに誓いあうか?」 「「はい、誓います」」 「よろしい。では指輪の交換を」 「「はい」」 俺は指輪を取り、ハルヒの左手の薬指に指輪をはめた。 今度はハルヒが指輪を取り、俺の左手の薬指に指輪をはめた。 「神よ!!今日此処に永遠の愛を誓いあった二人に祝福をっ!!願わくばこの者達の進む道が常に光に照らされてる事を願う」 「では誓いの口付けを」 そう言われると俺はハルヒのヴェールをそっと上げた。 ハルヒは涙ぐみながら微笑んでいた。 いい顔だな、ほんと惚れ直すよ。 俺はハルヒの肩にそっと手を置き静かにキスをした。 今まで何回もキスをしてきたが、こんなに幸せなキスはきっとないだろうな・・・ 唇を離すと盛大な拍手と歓声が起こった。 「今、此処にこの者達は永遠の愛によって結ばれた!皆様方、今一度盛大な拍手をっ!!」 神父さんがそう言うとまた盛大な拍手が起こった。 「では、皆様方。花嫁からブーケトスがありますので外の方へお願いします」 みんなが外に出ると俺はハルヒに話し掛けた。 「さっきのは流石にヒヤッとしたぞ?やるなら事前に言っておいてくれ」 「まぁ、そんな事どうでもいいじゃない!それより早く行きましょ!!」 こっちは全然良くなんだがな・・・ 「はいはい、分かったよ花嫁様」 外に出ると沢山の人たちが祝いの言葉を掛けてくれた。 「では、ここで新郎新婦から挨拶を頂戴したいと思います」 と言った神父さんからマイクを渡された。 「えー、皆さん。今日は集まってくれて本当にありがとうございます。急なスケジュールであるにも関わらずこんなに多くの人に集まってもらったことに感謝します。実はもう一つ報告があります。今ハルヒは俺の子供を妊娠しています。これからは夫として父として頑張っていきたいと思いますのでこれからもよろしくお願いします」 また拍手が沸く。 こんなに沢山の拍手が自分に向けられるのは初めてだな。 俺は挨拶を済ませるとハルヒにマイクを渡した。 「みんなー、今日は来てくれてホントありがとねーっ!!キョンも言ってたけど、今あたしのお腹の中にはキョンとあたしの子供がいます。これからはキョンの妻として、生まれてくる子の母親として精一杯頑張るから応援よろしくねっ!!以上!!」 俺の時と同じ様に拍手が沸く。 「新郎新婦ありがとうございました。では花嫁、ブーケトスをお願い出来ますかな?」 「はい、分かりました。ねぇ、キョンお姫様抱っこして頂戴っ!!」 そう言うとハルヒは俺に飛びついてきた。 「あぁ、幾らでもしてやるぞっ!!」 俺は言われるままハルヒをお姫様抱っこした。 するとハルヒはブーケのリボンを解きだした。 「ハルヒ何してるんだ?」 「あたし達の幸せを独り占めなんて許さないわ!こうすればみんなが幸せになれるでしょ?」 俺はハルヒが何をしようとしているのかを悟った。 なるほど、それならみんなに分けられるな。 「あぁ、そうだな。よしやってやれっ!!」 俺がそう言うとハルヒは解いたブーケを空高く放った。 空で散らばったブーケはまるで季節外れの雪の様にみんなに降り注いだ。 それは、幸せが空から舞い降りている様にも思えた。 みんなは一瞬何が起こったのか分からないという表情をしていたが、散らばったブーケに手を伸ばしていた。 その様子を見ていた俺とハルヒは声を合わせて言った。 「「みんながずーっと幸せになりますようにっ!!」」ってな!! さて、次に待っていたのは結婚披露宴である。 この場では新郎新婦とはさっきまでとうって変わって絶好のイジられるターゲットとなるのだ。 はぁ、なにやら先行きが不安なのは俺だけであろうか・・・? その不安は早くも的中したらしい。 なんと今この場で古泉が仲人に抜擢されたのである。 確かに付き合いも長いし、長門や朝比奈さんではどうにもならなそうなので無難といえば無難なのだが幾らなんでもいきなり過ぎるだろ・・・ ほら、あの古泉が流石に戸惑ってるぞ・・・ とか、思っていたらダブルマザーが古泉に何やら封筒を渡していた。 それを見た古泉はみるみる内にいつものニヤケ顔に戻りライトアップされたマイクの方へと歩き出した。 「えー、急遽仲人を任されました古泉一樹と申します。よろしくお願いします」 古泉がそう言うと拍手が起こる。 「お二人の出会いは今から11年前、丁度中学1年生の頃になります」 あぁ、そうだな。もうそんなになるのか。 って、なんでそんな事を知ってるんだ!? 「その時、公園で一人泣いていたハルヒさんに声を掛けたのが彼でした。彼は何も聞かず泣いているハルヒさんを慰めるとおぶってハルヒさんを家まで送りました」 何故だっ!?何故そこまで知っている!? そこでこっちをニヤニヤしながら見ているダブルマザーに目がいった。 まさか!?さっきの封筒の中身は・・・・ 「その後、互いに何も聞かずに別れた二人は運命的な再会を果たすのです」 古泉の手元を見てみると何やら紙を持っていた。 あの紙には北高に入るまでのエピソードが記されているのだろう。 どうでもいいが、あのドキュメンタリー口調はなんとかならないものか・・・ 「3年後お二人はなんと同じ高校へ進学しました。しかも同じクラスで席も隣同士だったのです。もう、これは運命としか言い様が無いでしょう」 古泉よ、そろそろ勘弁してくれ・・・ 「こうしてお二人の交際がスタートして今日を迎えたという訳です。この後もまぁ、色々あったのですがどうやらお二人とも限界の様なのでそこは割合させて頂きます」 ようやく終わった・・・ なんだかどっと疲れたな・・・ お次は定番の隠し芸大会の様だ。 またしても嫌な予感が止まらないのだが・・・ 1番手は長門のようだ。 「来て」 久々にあのインチキパワーが見られるのか等と考えていた俺は長門から指名を受けた。 「あぁ、分かった。じゃあ、ちょっと行ってくるな」 そうハルヒに言い残し、俺は長門について行った。 ついて行った先には人間ルーレットがあり、俺は長門の手によってそれに磔にされた。 「おい、これは一体どんな隠し芸なんだ?」 「対象が回転しながらのナイフ投げ」 ナイフと聞くとあいつを思い出すな・・・ あぁ、今考えてもゾッとする。 「大丈夫。投げるのはナイフのプロ」 長門がそう言って指差した方向を見るとなんとドレスアップした朝倉が立っていたのだ!! 「な、長門さん、これは何の冗談なのかな?」 「冗談ではない。涼宮ハルヒが朝倉涼子へ招待状を出したため、情報統合思念体に再構成を依頼した」 ハルヒの奴、朝倉も招待していたのか・・・ 「おめでとうキョン君。今日はよろしくね。なるべく痛くないようにするからね」 この天使の如き笑顔に騙されてはいけない。 「あ、朝倉!お前やっぱりまだ俺を殺すつもりなのか!?」 「大丈夫、もう殺したりしないわよ。涼宮さんの力が無くなっちゃったのにあなたを殺しても意味が無いからね」 どうでもいいが、さっきからの物騒な会話に客がドン引きしている・・・ここはさっさと終わらせよう。 「そ、そうか、分かった。思いっきりやってくれ!!」 「うん。じゃあ、長門さんお願いね」 「分かった」 長門が何かを呟くとルーレットがかなりのスピードで回り出した。 いかん、こりゃ吐きそうだ・・・ そう思ったのも束の間、無数のナイフが俺目掛けて飛んできたのだ。 かなりの高速で回転しているにも関わらずナイフは俺の身体の形に添ってルーレット板に突き刺さる。 いやぁ、流石は情報統合思念体の作った対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースだ。 何でもアリっていうのはきっとこいつ等の事を言うんだろうな・・・ やっとルーレットが止まり無事解放された俺はヘロヘロになりながら席に戻ったのだ・・・ ここで一旦俺とハルヒはお色直しのために会場を後にした。 控え室に戻った俺は朝と同じ様にひん剥かれた。 もちろん今度はパンツを徹底的に死守したのは言うまでも無い。 そして着替えが終わりハルヒの支度が終わるのを待っていると、支度が終わったらしく黄色いドレスに身を包んだハルヒが登場した。 「どう、キョンこれ似合ってる?変じゃないかしら?」 そりゃ、もう似合い過ぎってものだ・・・ 「あぁ、ヤバイ位似合ってるぞ」 その返答に満足したらしくハルヒは俺に抱きついてきた。 「ん?どうしたんだ?」 「だって、会場に入ったらこういう事出来そうに無いから・・・今の内に一杯抱きついておこうと思ったんだけどダメ?」 あぁ、もう我慢出来ない!! 「そうだな。もう少しこうしてような」 「うん・・・」 ・・・20分後・・・ 「えー、あのー、お二人ともそろそろいいでしょうか?」 職員の一言によって二人の世界から強制退去させられたハルヒはご機嫌斜めだった。 会場の入り口に着いてもハルヒの機嫌は直りそうに無かったので、ハルヒを強制的にお姫様抱っこした。 「ちょ、キョン?ど、どうしたの?」 「いや、これで入場するのもいいかなと思ったんだが嫌か?」 「い、嫌じゃないわ!それいいわね、そうしましょう!!」 もう、ご機嫌が直ったようだ。 「じゃあ、行くぞ」 入場した瞬間に、俺とハルヒは大量のフラッシュを浴びた。 もはや、軽い芸能人気分だ。 こんなのをよくあれだけ浴びれるもんだと感心しつつ席に戻った俺とハルヒを待っていたのはさっきまで椅子ではなくデカデカとハートマークがあしらわれたソファーだった。 さて、これはなんの冗談だ? 「さぁさぁ、座っとくれよ。折角用意したんだから、ちゃんと使って欲しいっさー」 鶴屋さん、あなたの仕業でしたか・・・ 「いいじゃない、使わせてもらいましょ?」 ハルヒがご機嫌な様なので俺はソファーを使うことにした。 「あぁ、そうしよう。鶴屋さん、ありがとうございます。使わせてもらいますよ」 「うんうん、そうでなくっちゃ。こっちも用意した甲斐があるってもんだい」 俺とハルヒがソファーに座ると、鶴屋さんは満足そうに自分の席へと戻っていった。 ハルヒは俺にくっ付いていられるのに満足らしく、ニコニコと子供のような笑顔をしている。 さて、やっと落ち着いたので辺りを見回してみるとスクリーンで「朝比奈ミクルの冒険 Episode00」が流されていた。 なんで、ここであれが流されてるんだ? 等という俺の疑問は些細な事だったようで結婚式の定番キャンドルサービスの時間がやってきた。 これが夫婦の初の共同作業である。 まぁ、みんな蝋燭を濡らしたりだとか先っぽの紐を切ったりというベタベタな事をしてくれたのは言うまでもない。 そして、今は最後の「SOS団とその友人御一行様」のテーブルに向かっている。 此処では一人一人ちゃんと挨拶しよう。 まずは鶴屋さんだ。 「やぁやぁ、よく来たね」 「どうも。さっきはソファーありがとうございました」 「気にしなくていいっさ。それより、キョン君もハルにゃんもちゃんとめがっさ幸せになるにょろよ」 「えぇ、分かってますよ」 「もちろん!絶対幸せになってみせるわ」 「うんうん、それでこそ君達っさー」 次に朝比奈さんだ。 「キョン君、涼宮さん。本当におめでとうございます。涼宮さん、とっても綺麗ですよ」 「朝比奈さんありがとうございます」 「みくるちゃんありがとね!あなたも早くいい人見つけてね。あたし応援してるわ」 「はい、よろしくお願いしますね」 次に古泉だ。 「どうも、御二方とも本当にお似合いですよ。これから色々大変だとは思いますが、お二人ならどんな窮地に立たされても互いを支え合って乗り越えられると僕は信じていますよ」 「あぁ、古泉ありがとうな。これからはどんな事があっても挫けない様に頑張るよ」 「古泉君、今日は来てくれてありがと!あたし頑張ってキョンを支えるわ」 「えぇ、頑張って下さいね」 次に朝倉だ。 「キョン君、涼宮さん。おめでとう。二人とも、お幸せにね」 「おう、朝倉来てくれてありがとうな」 「えぇ、あなたも幸せになるのよ?いいわね?」 「分かったわ。努力してみる」 最後は長門だ。 「おめでとう」 「あぁ、長門もありがとうな」 「有希、ありがとね。あなた可愛いんだから妥協しちゃだめよ!!理想は高く持ちなさい!!」 「分かった」 こうして最後のテーブルに明かりを灯した俺とハルヒは自分達の席へと戻った。 そしていよいよメインイベントであるウェディングケーキ入刀である。 また、沢山のフラッシュが浴びせられるがさっきほど違和感は無い。 これが慣れというものなのだろうか・・・ 無事ケーキカットも終わり、またハルヒとソファーの上でベタベタしている。 ケーキを食べていたらいよいよ最後のイベントが始まった。 それは「新郎新婦からご両親への挨拶」である。 まずは俺からだ。 「父さん、母さん、本当に今までお世話になりました。今、思えば俺はいつも二人に迷惑を掛けてばっかりでしたね。親の心子知らずという言葉がありますが、まさに俺はその典型的な例だったと思います。しかしながら、今日俺はハルヒと結婚し、最愛の妻のためにもこれから生まれてくる子供のためにもしっかりしていきたいと思います。ですから、これからも俺がヘマをやらかしたらどんどん叱ってやって下さい。よろしくお願いします。最後にもう一度、本当に今までお世話になりました。」 そう言い終わると母さんは泣いていた。 俺も泣きたくなるが今は堪える。 夫としてハルヒを支えてやらなきゃならないからな。 さぁ、ハルヒの番だ。 「お父さん、お母さん、あたしはほんとにワガママで一杯一杯苦労を掛けました。そしてその恩をあたしは全く返せていません。あたし・・・は・・っく・・・ほんとに何をやっても・・・周りから浮くだけで・・・・ホントに駄目で・・・ヒック・・・」 俺は泣き崩れそうになるハルヒを支える。 此処で崩れたらきっと後悔する。 俺の目を見たハルヒは俺に寄り掛かりながら続けた。 「・・・でも・・・あたしはありのままのあたしを受け入れてくれる人と出会いました。今日、あたしはこの人の元へお嫁に行きます。この人とこれからの人生を精一杯生きていきます。だから見てて下さい。これからのあたしを。精一杯生きてるあたしを。お父さん、お母さん、本当に今までお世話になりました。そして・・・ありがとうございました」 ハルヒが泣いている。 ハルヒの両親も俺の両親も泣いている。 でも、これは悲しいから涙が出るんじゃない・・・ 嬉しいから・・・幸せだから出る涙がある事を俺は知っている。 それを教えてくれたのは今、俺の腕の中で泣いてるハルヒなのだ。 なんという幸せな空間なのだろう・・・ いつまでもこんな幸せが続けばいいと思う・・・ そしてそんな幸せな気分のまま俺達の結婚式は終わったのだ・・・ 無事結婚式を終えアパートへと帰宅した俺とハルヒはベッドに入るや否や新婚初夜という事で激しくお互いを求め合った。 ようやくハルヒが安定期に入った事と「これでホントにあたしはキョンのものになれたのよね。さぁ、好きなだけあたしを求めて、キョンの好きにして?」 というハルヒの言葉に俺の理性は完全に陥落したのである。 だが、詳しい内容は割合させてもらおう。 何故かって? そんなの決まっている。 あんなに可愛いハルヒは誰にも見せたくないからな。 なんたってハルヒは俺だけのものになった訳だしな。 まぁ、俺もハルヒだけのものな訳なのだが・・・ さて、ノロケ話はこれ位にして本題に入るとしよう。 今日から俺とハルヒは新婚旅行へ行く訳なのだが、昨晩、頑張り過ぎた為に二人して寝坊してしまったのである。 「ちょっと、この目覚まし時計壊れてるんじゃないかしらっ!?」 見ての通りハルヒは朝からご立腹のようだ。 「いや、それはないだろう。ちゃんと時間通りに鳴ってた気がするぞ」 「じゃあ、なんで起きられなかったのよ?」 「そ、それは、その、昨晩頑張り過ぎたからな・・・・」 あ、ハルヒの顔がみるみる赤くなる。 あぁ、ほんとにカワイイなぁ。 「こ、このバカキョン!!朝から何言ってるのよ!?」 等とイチャイチャしてたらマジで時間が無くなった!! 「さぁ、時間も無いしそろそろ支度を始めましょ」 「あぁ、そうだな」 ハルヒ特製の朝食を食べ、着替えを済ませいよいよ俺達は家を出た。 目的地はここから電車を使って4時間ほどの場所にある温泉が有名な観光地だ。 「さぁ、行くわよキョン!!いざ新婚旅行へ出発よっ!!」 「あぁ!!行こう!!」 さぁ、遂に新婚旅行のはじまりであるっ!! さて地元の駅から電車で6時間ほどの旅だった訳だが・・・ 電車の車内で色々あった俺は今日一日分の精神力を見事に使い果たしていた。 ハルヒは到着早々遊ぶ気満々だったが朝の寝坊もあって辺りは日が暮れ始めていた。 「さぁ、キョン何処に行きましょうか?」 「とりあえず、旅館に荷物を置きに行きたいな。このままじゃ動きづらくて堪らん」 「そうね、じゃあ行きましょっ!!」 そう言ってまた俺の腕に抱きついてくる。 あぁ幸せ過ぎて俺は死にそうだ。 「ちょっと、キョン!!あたしの前で死ぬとか言わないでよねっ!!今度言ったら罰金だからね!!」 また俺の悪い癖が出ていた様だ。 ホント、どうにかならんかね・・・これ。 「キョンが死んじゃったら・・・・あたし・・・あたし・・・」 あぁ、そうだよな・・・ 俺だってハルヒが突然死んでしまったら生きていけないだろう・・・ 「済まなかった、俺は死なないよ。ハルヒの傍にずっといるから安心しろ」 「絶対よ?約束だからね!!破ったらひどいんだから!!」 「あぁ、約束だ」 それを聞くとハルヒはいつもの太陽の如き笑顔に戻った。 「じゃあ行くわよ!!泊まる旅館、駅から送迎バスが出てるのよ。急ぎましょ」 「おう」 そう言って俺達は送迎バスへと向かった。 無事バスを見つけ移動すること20分程で旅館に到着した。 フロントで受付を済ませ、鍵を受け取った俺とハルヒは部屋に向かっている。 「やっぱりこの苗字にはまだ違和感があるわ」 おいおい・・・ 「しっかりしてくれよ?」 「分かってるわ。あ、ここじゃない?」 ハルヒが部屋の前で立ち止まり鍵を開けた。 部屋は割りと広めで中々風情があった。 「わぁ、素敵な部屋じゃない!!」 ハルヒも大満足のようだ。 荷物を置いた後、出掛けたがるハルヒをどうにか説得しその日はそのままゆっくりする事にした。 豪勢な夕食を堪能した俺とハルヒは混浴露天風呂に向かった。 いやぁ、名物と言うだけの事はあったね。 風呂を上がりさっぱりした俺達は部屋の布団の上でダラーっとしていた。 「今日は疲れたし、もう寝るか?」 「そうね。明日もあるし今日は寝ましょう」 そう言ってハルヒが部屋の電気を消した。 真っ暗な部屋で睡魔の誘惑を受けているとハルヒが俺の布団に潜り込んできた。 「どうした?」 「ずっと、キョンと一緒に寝てたから一人だと寝れないの。だから一緒に寝ていい?」 「あぁ、いいぞ」 「じゃあ、おやすみキョン」 「おやすみハルヒ」 こうして新婚旅行初日は幕を閉じた。 翌日、朝食を済ますや否や俺はハルヒに観光名所巡りに引っ張り出されていた。 「さぁ、行くわよ!!何かがあたし達を待ってるわ!!」 「その何かとは何だ?教えてくれ」 「何かは何かよ!言葉で表せるものに興味は無いわ!!」 久々にハルヒ節が炸裂している。 こうなっては誰にも止められないのを俺はよく知っている。 「分かったよ。幾らでも付き合うよ」 「当たり前でしょ!!なんたってあたしの夫なんだからどこまでもついて来てもらわなきゃ困るわ!」 「あぁ、そうだな」 その日は観光のパンフレットに載っていた場所のほとんどに行った。 そして今は本日最後の観光名所である夕日が一番綺麗に見えると評判の場所に来ている。 「うっわー、ホントに綺麗に見えるわねー」 お前の方が綺麗だけどな・・・ 「あぁ、ホントだな」 しばらくお互い黙って夕日を見ているとハルヒが切り出した。 「ねぇ、みくるちゃんと有希すっかり綺麗になってたわね」 「あぁ、そうだな。正直見違えたな」 「ふーん、やっぱりそう思ったのね」 ハルヒの声のトーンが急激に下がる。 これはヤバイな。 早くも離婚の危機か!? 「あの子達ね、あんたの事好きだったのよ・・・」 「そ、そうなのか?」 いや、それは気が付かなかったな・・・ 「全く、白々しいわね」 ほんとに気付かなかったんだよ!! 「あたしはそれを知っててあんたを独占したの。団長っていう立場を利用してあの子達とあんたが必要以上に近づかないようにしてたの」 俺は黙ってハルヒの話を聞く。 「ホントあたしって最低よね・・・・・・いつも「団長だから団員のために」とか言ってたくせに結局最後は自分を守ってた。キョンを誰にも渡したくなかった。だってキョンが居なかったらあたしはきっと壊れちゃうから・・・」 抱きしめてやりたい。 でも、今はまだそれをしちゃいけない気がする。 「あたしは自分が情けない。みくるちゃんや有希の幸せを願っているのに・・・なのにキョンを手放す事だけは絶対出来なかった」 こんなハルヒを見ているのは辛い。 だが、ハルヒの夫としてここは耐えなければならない。 「あたしは今とっても幸せだけど・・・これはあの子達の幸せを犠牲にして得た幸せなの・・・だからあたしはあの子達に憎まれても・・・それは仕方がないわ・・・」 そこまで聞くと俺はもう我慢出来なかった。 ハルヒを思いっきり抱きしめた。 「・・・キョン?・・・」 「バカか!?お前は!!」 「・・え?・・・」 「いつ長門と朝比奈さんがそんな事を言ったっ!?言ってないだろう!?」 「・・・でも・・・でもっ!!」 「結婚式に来てくれた二人の顔をお前だって見ただろっ!?お前を憎んでる顔をしてたかっ!?して無かっただろっ!?二人とも心の底から祝福してくれてたじゃないか!!」 「・・・それは・・・そうだけど・・・」 「確かに二人は俺の事が好きだったかもしれない!!でもな、それでも俺はお前を選んでたさっ!!」 「・・・ホント・・・に?・・・・・ホントにあたしを選んでくれた?・・・」 「あぁ、選んでたよ。俺は始めて会ったあの日からずっとお前が好きだったんだからな!!だから、何があっても俺は、俺だけは最後までお前の傍にずっと居てやる!!」 「キョン!!あたしも・・・あたしもキョンが大好き!!」 「いいか?誰だって何かを犠牲にして生きてるんだ。長門も朝比奈さんも古泉も俺もな。だからそれから逃げるな!!ちゃんと向かい合え!!倒れそうになったら幾らでも俺が支えてやる」 「・・・うん・・・ック・・分かった・・・ヒック・・・もう・・絶対に・・逃げないわ・・・」 「あぁ、だから今は泣け。そして泣いた分だけ強くなれ。そうしないと生まれてくる子供に笑われちまうぞ」 「・・うん・・・うん・・・ふわぁぁぁぁぁぁああん・・・」 気が付くと辺りはすっかり暗くなっていた。 俺は泣き止んだハルヒを背負って旅館に戻った。 食事の時間はとっくに過ぎていたが旅館の人が夜食を用意してくれた。 その夜食を食べ終わるとハルヒは横になりそのまま眠ってしまった。 今日は一日動きっぱなしだったし、沢山泣いたもんな・・・ ハルヒお疲れ様・・・ 俺はその言葉に沢山の意味を込めた。 そして俺もそのまま寝床に着いた。 旅行も明日で終わりだな・・・ そんな事を考えつつ俺の意識は薄れていった・・・ 最終日は旅館をチェックアウトした後、昨日の内に観光を思う存分満喫した俺達は御土産屋を回る事にした。 ハルヒはお土産と一緒に「宇宙人全集 温泉地限定浴衣バージョン」なる物を買っていた。 何でも此処でしか売っていない限定物らしいのだが・・・ まさか、それが目的で此処を選んだんじゃないよな? あらかたお土産を買った俺達はそのまま帰路に着いた。 無事帰宅した俺達に残された大きなイベントはこれでハルヒの出産だけとなった。 それから6ヶ月程の時間が過ぎた。 現在はハルヒは妊娠8ヶ月半で、出産まであと少しである。 もうハルヒのお腹も大分大きくなっていて確実に成長しているのだと妊娠していない俺にも実感出来る程だった。 この子もハルヒのように毎日を元気に過ごして欲しいと俺は思っている。 「あ、キョンこの子今動いたわ!!」 子供が生まれても俺はその名で呼ばれ続けるのだろうか? 結婚して以来、俺はハルヒに何度か本名で呼んでくれと頼んでいるのだがそれは悉く却下されている。 最悪子供にまで「キョン」と呼ばれる事が無い様に努力しよう。 「何っ!?ほんとか?」 「あんたバカ?そんな嘘ついてどうすんのよっ!?そんなに疑うなら触ってみなさいよ!!」 そう言いハルヒが俺の手を取り自分のお腹に当てる。 その時、子供がハルヒの中から蹴ってきた。 どうやらこの子もハルヒと同じ位に気が強いらしいな・・・ 文句でも言っているのだろうか? 「ね?今動いたでしょ?」 「あぁ、ほんとに動いたな。正直感動した。早く顔が見たいな」 「ホントよね!!さっさと出てこないもんかしら?」 おいおい・・・ 「そんなにポンっと出てくる訳無いだろ?てかそれじゃあ感動が全く無いじゃないか。それにその子にもタイミングってもんがあるだろうし気長に待とうぜ」 「そんなの分かってるわよ!!いちいち冗談を真に受けないでよね?ほんっとにあんたって進歩しないわよね」 ハルヒは本日も絶好調のご様子だ。 いやはや、結婚式前後の時のしおらしかったハルヒが恋しいねぇ・・・ あの時のハルヒはそれはそれは可愛かったね・・・ 「なーに鼻の下伸ばしてんのよ!?このエロキョンっ!!」 どうやら顔に出ていたようで、ハルヒの視線がさっきから痛すぎる。 「どーせ、みくるちゃんや有希の事でも考えてたんでしょ?」 なんでここで長門と朝比奈さんの名前が出てくるんだ?さっぱり理解出来ん。 「いや、俺はお前の事を考えていたんだが」 「そうなの?まぁ、それなら高級レストラン1回で特別に許してあげるわ」 「はいはい、それはどうも」 「それはそうと、ねぇ名前はもう決めてくれた?」 「あぁ、今最後の2択で悩んでいるところなんだ」 「へぇ、あんたにしては仕事が早いわね。じゃあ、その最後の2択とやらを聞かせてちょうだい。あたしが採点してやるわ!」 「それは生まれた時のお楽しみだ」 「あんた、あたしにそんな口聞いていいと思ってんの?あんた何様よ!?」 「俺か?俺はハルヒの旦那様だが」 「ま、まぁそうね、間違っちゃいないわね。って開き直るな!!」 こんな夫婦喧嘩のような会話をしていて子供に悪影響を与えないのかとたまに心配になる。 だが同時に、これが俺達の自然体なのだからこのままでいいとも俺は思っている。 今はとりあえずこの怒りが収まらない俺の奥様をどう鎮めたものか・・・ 「ちょっとキョン!!ちゃんと聞いてんのっ!?さっさと答えなさい!!30秒以内!!」 それだけを考えている・・・ その3週間後、いつものように労働に勤しんでいると突然俺の携帯が鳴り出した。 急いで廊下に出てディスプレイをチェックすると発信はハルヒの携帯からだった。 「どうした?何かあったか?」 「あ、キョン?あたしきたみたいなの!!」 相変わらず主語が抜けている。 「来たって何が?まさか宇宙人か?」 「あんたってホントにアホでしょっ!?陣痛がきたみたいって言ってんのよ!!」 「え?だって予定日まであと3週間もあるじゃないか?」 「そうだけど、きちゃったもんはきちゃったのよ!!」 確かに電話の向こうのハルヒは苦しそうである。 落ち着け・・・落ち着くんだ、俺!! 「大丈夫なのか?病院までちゃんと行けるか?」 「今、母さんが来てくれてるから大丈夫。タクシー来たら病院に行くからアンタも急いで来なさいっ!!」 「いきなりそんな事を言われてもな、まだ仕事残ってるし。出来るだけ急いで行くよ」 「はぁっ!?アンタ、あたしと仕事とどっちが大事なのよっ!?いいからさっさと来なさい!!3秒以内!!遅刻したら離婚だからね!!じゃ!!」 ブチッ!! ツー ツー ツー はぁ、どうすりゃいいんだよ・・・ 俺だって今すぐにでも行きたいが、いきなり早退させてもらえる訳も無いしな・・・ そう思いつつドアを開けると部長が俺の鞄を持って立っていた。 「話は全部聞かせてもらった。今日はお前が居ると何故かみんなの仕事が捗らんからさっさと帰れ」 「え?で、でも」 「でももヘチマもあるか!とにかく今日のお前は邪魔なんだ。だから帰れ!!」 「あ、ありがとうございます!!」 「お礼を言われるような事はしとらん。邪魔だから追い出すだけだ」 「はい。失礼します」 俺は部長に頭を下げると病院を目指して走り出した。 その際、部署から声援が聞こえたのはきっと気のせいではないだろう。 会社を出てタクシーを捜したが中々来ない。 こんな所でタイムロスをしたくないので俺はがむしゃらに走り出した。 病院はここから車で1時間は掛かるが、この場でタクシーを待っている余裕は今の俺には無いので、今はただ一歩でも病院に近づく様に走っているのだ。 暫く走っていると偶然にも信号待ちをしているタクシーを発見した俺は慌ててドアをノックした。 幸い、客は乗せておらず俺はそのタクシーに乗って病院へ急いだ。 事情を聞いたタクシーの運ちゃんが一般道で混雑する時間帯に120キロを出すという中々スリリングな事をしてくれたおかげで30分程で病院に到着する事が出来た。 願わくばあの運ちゃんが違反で捕まりませんように・・・そう願いつつ病院の中へ入った。 俺は受付でハルヒが何処か聞こうとしたが、俺の顔を見るなり看護師さんが俺をハルヒの元へ案内してくれた。 そういえば、診察室でキスしたバカップルって事で有名だったな、俺達・・・ 案内された分娩室の前には、ハルヒの母さんと俺の母さんが待っていた。 「ちょっと、キョン!遅いじゃない!?」 「あぁ、スマン。お義母さん、すいませんお世話になりました」 「いいのよ。それよりハルちゃんが無理言ってごめんなさいね」 「いえ、それでハルヒは?」 「20分位前に分娩室に入ったところよ」 「そう・・ですか」 すると分娩室から看護師さんが出てきた。 「あ、旦那さんやっときたぁ!!さぁ、早く中に入って下さい。奥さんがお待ちですよ」 と言って俺を分娩室に連れ込む。 廊下と分娩室との間にある部屋に入った俺は看護師さんに怒られていた。 「もう、遅いじゃないですか。ダメですよ?出産も立派な夫婦の共同作業なんですからね!分かりましたか?」 「はい、ごめんなさい」 「よろしい。じゃあこれ着て下さい」 と言って自分達が着ているものと同じものを俺に渡してきた。 俺がそれを着終わるのを確認すると俺をハルヒのいる分娩室へと通した。 「奥さん、さっきからカンカンですから覚悟しといた方がいいですよ」 「でしょうね。慣れてるから大丈夫ですよ」 分娩室にはかなり苦しそうにしているハルヒと担当の先生と看護師さん数人が居た。 「あら、やっと来たの?遅かったじゃない」 ハルヒの担当の先生が話し掛けてきた。 「どうも、遅くなってすいませんでした」 「まぁ、それはいいから奥さんに話し掛けて励ましてあげて。なんだったらまたキスしちゃってもいいからね」 きっとこれがこの人流の励まし方なのだろう。 そう・・・信じたい・・・ 「はい、分かりました」 俺はハルヒの隣に立って話し掛けた。 「よう、遅くなって済まなかったな」 「お・・そいわ・よ・・・何や・・ってたのよ・・・」 怒ってはいるがいつもの勢いは無い。 それほどまでに苦しいのだろう。 「ホントにスマン。これでも大急ぎで来たんだぜ?」 「・・・遅刻し・・たら・・離婚・・・って言った・・でしょ・・・」 「文句なら後で幾らでも聞いてやるから、今は子供を生む事だけを考えてくれ。俺もずっとここに居るからな」 そう言って俺はハルヒの手を握った。 「分かった・・・わ・・覚悟し・・・ておきなさいよ・・・」 「あぁ」 もうそこから何時間経っただろうか・・・ ハルヒは未だに苦しんでいる。 早く終わって欲しい・・・ 俺はハルヒの手を握りながらそれだけを願っていた。 こんな時「ハルヒ頑張れ!!」としか言ってやれない自分に嫌気が差す。 ハルヒは激しい痛みによって気絶し、また痛みによって覚醒する行為を何回も何回も繰り返した。 正直、その姿を見ていられなかったがここで目を閉じてしまったらハルヒは一人ぼっちになってしまう。 俺は何度も目を瞑りそうになる度に自分に「瞑るな!!」と言い聞かせた。 そして遂にその時がやってきた。 「おぎゃー、おぎゃー」 と元気な泣き声が聞こえる。 俺がふっとその泣き声のする方へ目線を上げるとそこには看護師さんに抱かれた小さな赤ちゃんの姿があった。 俺はやっと終わったと安心した。 「やったな、ハルヒ。無事に生まれたぞ」 「・・・・・・・・・・」 ハルヒの反応が無い。 俺の頭の中で最悪の予感が起こる。 「は、ハルヒ?おい、これはなんの冗談だ?」 いつの間にか握っているハルヒの手に力が無くなっている。 そんな事はある筈が無い・・・・・・・・ 「ハルヒっ!?ハルヒーーーーっ!!」 俺は目の前が真っ暗になっていた・・・・ 「旦那さん、落ち着いて!!大丈夫、気絶してるだけよ。ほらちゃんと呼吸してるでしょ?」 え?本当に・・・・・・・? 俺は恐る恐る確認する。 すー はー すー はー 本当だ。 ハルヒは生きてる。 良かった、本当に良かった。 再びハルヒの手に力が戻る。 「・・・・ぅっさいわね・・・・勝手に殺すんじゃないわよ・・・・・」 ハルヒはゆっくり目を開いた。 「あぁ、そうだな。済まなかった」 「・・・全く・・・他に言う事・・・あるでしょ・・・」 「あぁ、ハルヒ良く頑張ったな。ありがとう、お疲れ様」 それを聞いたハルヒは力無く微笑むと再び目を閉じ深い眠りについた。 眠ったハルヒと一緒に分娩室を出ると母さん達だけでなく俺の親父にハルヒの父、そして妹が待っていた。。 「無事生まれました。ご心配お掛けしました」 おれがそう言うと歓声が沸いた。 なぁ、ハルヒ、ほんと俺達はいい家族に恵まれたよな。 俺はそのままハルヒに付き添い、みんなは保育器に入っている俺達の子供を見に行っていた。 「生まれてすぐに離れ離れになるのはなんか寂しいな」 俺は眠っているハルヒにそんな事を話掛けていた。 幸いハルヒの部屋は個室だったので、俺はその晩ハルヒに付きっきりで居ることにした。 翌日、会社に電話をして子供が無事生まれた事、一日仕事を休ませて欲しいという事を部長に話した。 部長が「無事生まれたか、そうかそうか。それは良かった」と言うと部署内で歓声が沸いているのが聞こえた。 「有休って事にしとくから、気にせず休め」 「ありがとうございます。では」 俺はそう言って電話を切り、受付で車椅子を借りてハルヒが眠る病室へと戻った。 ハルヒはその日の昼位にやっと目を覚ました。 「お、やっと起きたか?おはよう」 「ん?おはよ。今何時?」 「あぁ、12時半位だな」 「そう。ねぇ、赤ちゃんは?」 「新生児室にいるよ」 「そう、じゃあ今から見に行ってくるわ」 「おいおい無理するなよ?」 「無理なんてしてないわ」 そう言って立ち上がろうとするが足に力が入らないようだ。 「そうかい、じゃあこれに乗れ。そしたら連れて行ってやる」 そう言って車椅子を引っ張り出した。 俺は車椅子に乗ったハルヒを連れて新生児室に来ている。 俺はハルヒに付きっきりだったので、ここに子供を見に来るのは始めてである。 「ねぇ、あたし達の子供ってあれよね」 ハルヒが自分の部屋の番号が書かれたプレートの下がった保育器を指差す。 「あぁ、そうだな。可愛いな」 「ホントね。アンタに似なくて良かったわ」 「おいおい・・・」 「冗談よ!!いちいち真に受けるなっていつも言ってるでしょ?」 「お前の冗談は冗談に聞こえないんだ」 「そんな事はどうだっていいわよっ!!」 いや、よくはないと思うんだが・・・ 「それより、あの子の名前をそろそろ教えてくれない?」 「あぁ、そうだな。あの子の名前は「はづき」だ。「春」の「月」って書くんだがどうだ?」 「ふーん。まぁ、あんたにしちゃ中々なんじゃない?」 「そうかい?そりゃ良かった」 「あなたの名前は春月よ!!美人のママとダメダメヘッポコのパパだけどこれからよろしくね!!」 おいおい、いきなりその自己紹介は無いだろ? まぁ、いいか。 そこはこれから幾らでも修正して行けばいいしな。 まずはこの子に挨拶だ。 「ワガママなママとそのママに全然頭が上がらないパパだけどこれからよろしくな春月」 そして1週間後・・・ ハルヒは無事退院する事になった。 体調を完全に回復したハルヒと春月を連れて俺は家へと帰ってきた。 1週間程は静かだったこの部屋もまた賑やかになるだろう。 いや、ここは以前にも増して賑やかになると言い換えておこう。 まぁ、この子が始めて喋った言葉が「キョン」だったとか色々騒動はあったのだがそれは別の機会にしよう。 なんたって、一人でも手を焼いていたのが今度は二人になってしまったんだからな。 また、俺の気苦労も増えそうだ・・・・ あぁ、名前の意味? それは、「ハルヒ」っていう太陽から光を一杯もらって、いつか自分自身で光り輝いて欲しいって思いを込めて「春月」って名前にしたのさ。 「ちょっとキョン!!何してんのよっ!?早く来なさい!!」 早速、春月が何かしでかしたようだな。 そろそろこの言葉も封印したいのだがそれはまだ先の話になりそうだ。 「あぁ、今行くよ。はぁ、やれやれ」 fin エピローグ その後の話を少しだけしたいと思う。 春月は無事4歳となり今日も元気に外をハルヒと一緒に走り回っている。 無論、俺も二人に引っ張り回されている最中だ。 「きょんくん、おそいよ!!おくれたらばっきんなんだよ!!」 「そうそう、遅れたら罰金よ!!それが嫌ならさっさと来なさい!!」 はぁ、すっかり似たもの親子になっちまったな。 これからがある意味では楽しみで、ある意味では怖いな・・・ もうお気付きの方も多いと思うが、そう俺の努力虚しく俺は我が子にも「キョン」と呼ばれているのである。 今は、大きいハルヒと小さいハルヒである春月に振り回される忙しい毎日を過ごしている。 大変だが充実した日々を送れている事を俺は二人に感謝したいと思う。 じゃあ、二人が呼んでいるのでそろそろ行くとしよう。 罰金は嫌だしな・・・ 「おい、待ってくれよ!!」 そう言って俺は二人の元に走り出した・・・・・ fin
https://w.atwiki.jp/haruhi_best/pages/36.html
戦慄の肉じゃが 涼宮ハルヒの覚醒本編 涼宮ハルヒの覚醒おまけ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5011.html
11月も後半に突入し、日に日に冬らしさが増えてくる。 最近は部活から帰る時点ですでに真っ暗だ。 「今日は転校生が来たぞー」 岡部は教室に入ってくるなり、そう言った。 教室がざわつく。 お前らは小学生か?と突っ込みつつ俺も少しそわそわする。 「すっごい綺麗な女の子だと良いなー」 谷口、だとしたらお前には振り向かないぞ。 「入ってくれ。」 岡部の掛け声と共に、男子が入ってきた。 男子のため息と、女子の囁きが聞こえる。 入ってきた奴は古泉ほどではないものの、なかなかのイケメンだった。 「よし、じゃあ自己紹介をしてくれ。」 「こんにちは、春日清(きよ)です。」 春日とか言う男は澄んだ、綺麗な声で自己紹介を始める。 「趣味は本を読むこと、特にSFが大好きです。宇宙人、未来人、超能力者などに興味があります。」 …え? その時、ハルヒがガバッと立ち上がった。 「ねぇ、春日君。だったらSOS団に入団しない?」 「涼宮、勧誘は後で良い。んーとじゃぁ春日、うるさい奴だが、涼宮の隣に座ってくれ。」 「よろしく、春日君。」 後ろを振り向くと、ハルヒが春日に挨拶をしている。 「こちらこそ。よろしくお願いします。涼宮さんといいましたっけ?」 「そうよ、涼宮ハルヒ。SOS団の団長よ。」 俺はこいつらの会話を聞きながら、何でこんな微妙な時期に転校してきたのか、疑問に思っていた。まるで朝倉の時のようだ。嫌な記憶がよみがえる。 …後で部室に行けばあいつらが教えてくれるだろう。 授業中、春日とハルヒはずっと超能力者、未来人や宇宙人がいるかどうかについて話し合っていた。ったく、春日は転校生なんだからそんなにしょっぱなから先生に悪印象を与えてどうするんだよ? 途中休みになると、ハルヒは春日に俺を紹介した。 「こいつはキョン、SOS団の雑用係。」 あぁ、雑用係とわざわざつけられたのが気に食わないがよろしく。 「キョン君か、よろしく。」 キョンで良い、なんかくすぐったいからな。俺も春日でいいか? 「どうぞ、むしろ僕もその方が気が楽だよ。」 「さぁ、春日君!校舎の案内するからついてらっしゃい!」 そう言い走り始めるハルヒの後を、春日は微笑を浮かべてついていった。 さてと、俺は部室に行くか。 「来ると思っていましたよ。」 なら話は早い、春日、あいつは誰だ? 「彼は涼宮さんが生み出したものですよ。」 何のためにだ?話が合う友達が欲しかったのか? 「いえ、違います。」 じゃぁ何だよ。 「こればかりはあなた自身で気付いてください。一つ、私からヒントのような質問です。あなたは彼と涼宮さんが仲良くしているのを見て、何か感じますか?」 あいつらが仲良くしてるのを見て…なんとなくハルヒを取られた気がしてイライラする。しかし、何故ハルヒを取られた気がするのかも、それでイライラするのかもわからん。 「素直じゃないですね…」 「さらに鈍感。」 うぉ!長門、居たのか。 「居た、最初から。」 そ、そうか… 「おや、そろそろ次の授業ですね。では、私は行きます。」 じゃぁな。 「あなたは?」 もう少し後で行くよ。 そう言ったが、あまり授業に出る気は無かった。 あの二人が仲良くしてるせいでうるさくて、どうせ集中なんか出来ないしな。 「キョーーーーーン!」 ったく、何だよ。 あれ?ハルヒ? 「あんたなんで授業サボってたの?」 あ、いや、何でもない、ただ単にだ。 「そう。」 いつの間にか周りを見回すと、俺以外全員が揃っている。 「さて、今日は新団員を紹介するわよ!」 って、春日?!お前入るのか?! 「うん、楽しそうだしね。」 お前、本当に自分の意思か?ハルヒに強制させられていないか? 「えーと、キョンは放って置いて紹介よ!これが春日君、私たちの同じ1年生よ。今日転校してきて、未来人、宇宙人、超能力者とかに興味があるみたい。ってことで今日から団員だから、皆も自己紹介してね。じゃ、みくるちゃん。」 「あぁ、え?私からですかぁ?えぇと、朝比奈みくると言います。唯一の2年生です。一般的にはお茶汲みをやっています。よろしくおねがいします。」 「美しい方ですね、よろしくお願いします。」 「あ、ありがとうございます。」 「じゃぁ、次は有希!」 「長門有希、趣味は読書。よろしく。」 「私たちはもう自己紹介したから、最後は古泉君!」 「こんにちは、あなたの噂は彼や涼宮さんから聞いています。私は古泉一樹で、SOS団の副団長を務めさせて頂いています。」 「みなさん、よろしくお願いします。」 「新団員も入ってきたことだし、みんな気合入れてね!」 そこから一週間、春日は毎日部室に来て、俺達と打ち解けていった。 しかし、俺のイライラは溜まる一方だった。 何故か、春日と一緒にいるときにハルヒが笑顔になるのを見ていると嫌になる。 クソッ、俺が閉鎖空間発生させたいぐらいだぜ… だが、この気持ちがなんなのかが分からない。 今は金曜日の放課後で、今部室には長門、朝比奈さんと俺しか居ない。 「あのー…キョン君、どうしたんですか?最近イライラしているようですが。」 あぁ、朝比奈さん。気にしないで下さい。 「どうしたんですか?私の力になれることなら…」 そこで、俺は一部始終を話してみた。 朝比奈さんは俺の話を何も言わずに聞き、静かに頷くと 「キョン君は涼宮さんのことが好きだから、春日君に嫉妬してるんですよ。」 えーと…俺がハルヒを好き?春日に嫉妬? 確かに、もしかしたらこの感情は好き、それにこのイライラは嫉妬なのかもしれない。 だとしたらつじつまは合う。 そう…ですね。そうかもしれません。 「キョン君、気付いてよかったですね。じゃぁ、涼宮さんにアタックしてみてください。」 え、でもあいつは春日が… 「ここからは僕が説明しましょう。」 ん?古泉? 「今少しドアの外で聞いてしまいました。春日君は涼宮さんが、あなたに嫉妬をさせるために作り出したものです。」 相変わらずハルヒってすごいな… 「そこじゃないですよ、つまり嫉妬をして欲しいということは」 ということは? 「あなたはここまで来ても鈍感なんですか…?」 …何だ? 朝比奈さんまでそんな軽蔑した目で見ないで下さい…。 長門、お前もだ。 「ならいいです、明日は不思議探索があります。多分何かが起こるので、ちゃんと心の準備を。」 何が起こるんだ?何のための心の準備だ? 「「「…」」」 「よし、みんないるわね!明日は土曜日だから不思議探索をするわ!午前は団長の私用があるから、いつもの場所に1時集合ね!春日君は初めてだから、説明するわね。」 そういうとハルヒは不思議探索について説明を始めたが、ほとんど俺の耳には入っていなかった。 「キョン!遅いわよ!初めての春日君でもあんたより早いわよ!」 おい、春日、お前何故時間より早く来る事を知っている? 「いえ、ただ単に集合時間より早めにくるべきかな、と思ったので。」 …こいつとハルヒを取り合って勝てる自信がない。 「じゃぁいつもの喫茶店に移動!」 おいおい、神様はどんなにひどいんだよ。 午後のペアは 俺と古泉 長門と朝比奈さん ハルヒと春日だった。 俺の怒りのマグマが心の中でブクブクいっている。 「やったー春日君と同じね!私がこの町の良いところ教えてあげるわ!」 ……… 「ありがとう、涼宮さん。」 ……… 何だよ何だよ、ケッ、両方とも微笑みやがってさぁ。 「大丈夫?性格に悪化が見られる。」 あぁ、長門。気にするな。 「じゃぁ出発!春日君、早く行きましょう!」 ハルヒが春日の手を引っ張る。 一瞬怒りで脳味噌が吹っ飛んでいくかと思った。 いつも春日が来る前はハルヒにやられていたが、端から見るとこんなにもカップルに見えるのか…。 「私たちも行きましょうか。」 るせぇな、どこに行くんだよ。 「あなたの好きなところで良いですよ。」 じゃぁ、あいつらをつけるぞ。 「いつからストーカーになったんですか?」 モラルとかルールとか、正直そんなものは今どうでも良い。 俺は、ハルヒを春日に何があっても絶対に取られたくない。 …ここまで俺がハルヒを好きだとは思わなかったぜ。 「気付いて良かったじゃないですか。しかし、男の嫉妬は醜いですよ?」 放っとけ。 ハルヒと春日は、仲良く喋りながらいろいろな場所を回っていった。 大したことはしていないが、俺にしたら二人が傍にいるだけで嫌になる。 そして暗くなり始め、そろそろ集合場所に戻るかと思っていると、春日が何かを言い出した。 俺達の位置からは何を言っているのかは聞こえない。 ハルヒはその言葉に頷き、春日の後をついていった。 「どうぞ。」 古泉が俺にケータイを少し小さくしたような機械を手渡す。 これは何だ? 「長門さんがさっき仕掛けておいた盗聴器の受信機です。」 そういえばさっき長門とハルヒ達がすれ違ったような… 何故仕掛けたのかが気になるが、まぁここは感謝してせっかくだから使おう。 俺今完全なる犯罪者だな… 『ねぇ、春日君、こっちに何があるの?』 『まぁまぁ、僕についてきて下さい。』 二人はテクテクと人気のないほうに歩いていく。 俺達はコソコソとその後をつけて行く。 すると、春日はハルヒを人気のない公園に連れ込んだ。 「これは、もしかして、彼は涼宮さんに告白する気では…」 なぁんだぁってぇぇぇ?! 春日がハルヒに好意があるのは知っていたが、さすがにこんなに早く告白するとは思わなかった。 やばい、ハルヒは中学時代、どんな男に告白されても、その場でふったことは無いらしい。 つまり、春日がハルヒに告白したとしたら、どんなに短時間だとしてもあの二人は恋人関係になるわけである。 しかも、ハルヒもあまり春日を嫌っていないようだ。 ということは本気で付き合いだすかもしれないという事か?! 『どうしたのよ、春日君。こんなところに連れ込んで。』 『俺…ハルヒのことが好きだ!付き合ってくれ!』 『え…』 俺が飛び出そうとすると、古泉に抑えられた。 「後少し待ってください。」 『え、そんな、春日君?』 『僕は本気です。』 『ちょ、春日君、キャッ!』 するとその時、春日がハルヒをベンチに押し倒したのだ。 一瞬、古泉の腕の力が抜けた。 俺はそのまま、ハルヒと春日の前に出て行く。 おい、春日、何やってるんだよ? 春日がこっちを振り向く。 「キョ、キョン?」 「何って、涼宮さんに告白してるんだよ。」 「違うの、キョン、これは…」 そのことじゃない、何故お前はすでにハルヒを襲おうとしてるんだ? 「涼宮さんは告白は断らない主義だそうなのでね。」 だからと言ってお前何故服を脱がそうとしてるんだよ… 俺は黙々と春日に近付き、 ドスッと春日を殴った。 「キョン?!」 「何するんだ!」 女を襲ってる奴を殴って何が悪い? 「別に僕が涼宮さんに何をしようと僕の勝手だろう?」 違う。 俺はな、ハルヒが好きなんだ。 「…え?キョン?!」 最初お前が転校してきた時、俺は自分がハルヒを好きだとは思っていなかった。 だが、お前らが仲良くしているうちに俺は自分がハルヒを好きだって気が付いたんだ。 「キョン…」 「そんなこと言ったって…僕だって涼宮さんのことが好きなんだよ?」 あぁ、だろうな。でも俺だって好きなんだよ。 おいハルヒ、お前は俺と春日、どっちを選ぶんだ? 「…キョン、ごめんね。」 え…。 「春日君もごめん。」 どっちも振るのか? 「うぅん、キョンにはやきもち妬かせてごめんね?後、春日君、気持ちに答えられなくて、ごめん。」 「涼宮さんは、キョンを選ぶのかい?」 「ごめんね、春日君。春日君はすっごく優しいし、頼りにもなるし、趣味も合う。頼りにならなくて、気も利かなくて、ヘタレなキョンとは大違い。だけど…何故か分からないけど…私はキョンが好きなの。ごめんね。」 すると、ハルヒがいきなり倒れた。 お、おい?!ハルヒ?! 「大丈夫、安心して。私がやったこと。」 長門?! 「キョン、君と争えて良かったよ。」 春日の影が薄くなっていく。 おいおい、どうなってるんだよ? 「春日君は涼宮さんがあなたにやきもちを妬かせる為に作ったもの。あなたがやきもちを妬き、告白した今、用はない。」 「だから、彼は消えるんですよ。」 …春日、お前、意外と良い奴だったな。 「君もだよ、キョン。じゃぁ」 「「またいつか、どこかで」」 「キョーン、一緒に帰ろ♪」 ということで、あの日の告白以来、俺とハルヒは付き合うことになった。 春日のことを長門に聞いてみると、一言 「情報操作は得意。」 と言われてしまった。 つまり、多分みんなの記憶から消したんだろうな。 だが、俺は春日のことを忘れるつもりはない。 もしかしたら、あいつとは、良い友達になれたかもな。 しかし、ハルヒが今、俺の隣で笑っているのは春日のおかげだ。 「何考えてるの?」 いや、別に。お前のこと考えてたんだ。 と適当にごまかす。 「もう、キョンったら」 そういうハルヒの顔は、うっすらと紅色に染まっていた。
https://w.atwiki.jp/edelweisslilienthal/pages/21.html
軍曹 閣下5 ヒースコート直属の部下 イヴに銃剣で喉を突きかけられた 伍長殿 閣下10 ガイドリクス大将の従卒 従卒一筋三十五年 キース少将が代理で就任した際に退役 カール・アレリード 閣下12 曹長 憲兵 オルフハード少佐の部下 マルコ・ロヴネル 閣下22 准尉 史料編纂室所属 オーフェルヴェック少佐 リドホルム男爵 ファゴ元海軍長官 閣下22 海軍顧問 リーツマン少尉 閣下28 27歳 キース少将の第一副官→第二副官→キース中将の第一副官 ニールセン少佐 閣下36 キース少将の事務官→兵站総監 中年太り シヒヴォネン少佐 閣下37 キース少将の部下 禿頭 アーレルスマイアー大佐 閣下37 キース少将の部下 妻を亡くし現在は十歳の息子と六歳の娘を一人で育てている ラッカード中佐→少佐 閣下37 王宮警備責任者 クルーゲ伍長 閣下37 アーレルスマイアー大佐救出時にイヴと行動を共にした小隊の分隊長 シュテルン准尉 閣下38 ガイドリクス大将の第四副官→キース少将の第三副官 クーデター一味 廃棄戦闘服を購入した軍規違反 過失致死容疑 変態 キモい 男全体の面汚し犯罪者 ルドヴィーク・ヴァン・オットーフィレン 閣下39 56歳 准将 伯爵 エクロース大将 閣下39 海軍長官 伯爵 長年不倫をしている エミール・ヤグディンにより殺害 フーバー 閣下42 兵士 イヴの部下 車から引きずり降ろされる ヘルツェンバイン中佐→大佐 閣下44 50過ぎ ガイドリクス大将の第一副官→ガイドリクス国王侍従武官 老眼 エサイアス・ウルライヒ 閣下50 少尉 キース中将の第二副官 イヴの同期 士官学校時代は万年主席 シーグヴァルド・ルオノヴァーラ大尉 閣下54 ブリタニアス君主国駐在武官付き補佐武官 情報収集を得意としている イヴとギュンター・ディートリヒ大佐が恋仲だと思い込み吹聴した 勘違い甚だしい人 ディートリヒ大佐がいつの間にか消えたことで自分も閣下に消されると思い込みキース大将に助けを求める マルガレータ・ヴァン・エーベルゴード大尉 閣下54 ブリタニアス君主国駐在武官付き補佐武官 脱線事故の際「あ゛あ゛あ゛」と叫びたくなるような腕の骨折した人 エルヴィーラ 閣下82 エサイアスがキース中将から預かった手紙に頬ずりしたイヴの同期その1 ペララ テレジア 閣下82 エサイアスがキース中将から預かった手紙に頬ずりしたイヴの同期その2 シュルヤニエミと結婚 超極貧没落侯爵令嬢 クレーモラ ミア・メリネン 閣下83 19歳 従卒 二等兵 キースの手紙を盗んでディートリヒ大佐にボコられる 短く切ったふわふわとした黒髪、身長はかなり低め オクサラ中尉 閣下101 ヴェルナー大佐の副官 ビュルヘルス大佐 閣下103 海軍を預かっている オットーフィレン准将 閣下103 東方司令部司令官 ユハニ・ヴァン・イェルム大佐 閣下103 48歳 西方司令部司令官 ミルヴェーデン大佐 閣下103 南方司令部司令官 ヨーナス・ヴァン・シベリウス 閣下128 少佐 騎兵隊副隊長 オリュンポス馬術の補欠選手 ギルベルト・ネクルチェンコ少尉→中尉 閣下131 27歳 親衛隊員 ルース系 ヒースコート隊出身 金髪で緑目 顔つきは怖い系 直属少尉の中では一番整ってるような気がする 実はネクルチェンコ隊11人だけはキースではなくイヴの護衛部隊 ミカ・ユルハイネン少尉→中尉 閣下131 28歳 親衛隊員→親衛隊隊長 士官学校時代はイヴと同期だが素行不良で一年で退学 大学に入り直し卒業後軍の採用試験を受けて合格 性格は厄介 生理的に鬱陶しいヤツ ただしエサイアスに次ぐ明晰な頭脳 酒弱い 乗馬は親衛隊隊員の中ではトップ 粗ちん野郎 ミカハム ディーデリック・バウマン少尉→中尉 閣下131 26歳 親衛隊員 アーレルスマイアー大佐の部隊出身 わりと大柄頭髪はライトブラウンで、瞳はグレー ヴァイキングの子孫っぽい厳つい顔立ち パトリック・ヘル少尉→中尉 閣下131 30歳 親衛隊員 憲兵小隊出身 情報収集整理と尋問が得意 色味の薄いブロンドとアイスブルーの瞳 実はイヴの直属でもっとも直情的 ウスターシュ・カミュ 閣下135 軍属 親衛隊庶務担当 実はアドルフ・モルゲンロートの子飼い キャラメルブロンド 瞳は濃いめのグレー ブルクハルト・ハインミュラー 閣下139 中尉 自称イヴのライバル シヒヴォネン作戦本部長の護衛→イヴの副官 ゾンネフェルト少佐の派閥 親衛隊の誰かに暴行未遂疑惑をかけようと恋人のチェンバレン少尉をトイレに潜ませた ストロベリーブロンドぴっちり七三分け 三白眼で頬が痩けていて唇が妙に薄い ピンク ゾンネフェルト少佐 閣下139 キース中将の士官学校時代の同期で首席 女性士官人気最低 スカーレット・チェンバレン 閣下141 少尉 広報課所属 身長低め ハインミュラーの恋人 ボイスOFFに暴行未遂疑惑をかけようとトイレに潜んでいた イヴに脹脛を撃たれる マキネン中佐 閣下142 広報部 栗色の髪 国で初の女性士官で軍に残って三十年という大ベテラン ルイス・アルテナ 閣下144 少尉 近衛隊 ダークブロンド コールハース少佐 閣下163 54歳 司令本部の夜間警備総責任者 オディロンによって殺害される 故人 トゥオミ一等兵 閣下176 27歳 オディロンによって殺害される フルメリンタ一等兵 閣下176 27歳 オディロンによって殺害される ジークフリート・トロイ 閣下165 中尉 イヴの四学年上 サンドラと結婚 トロイ先輩 アルフォンス・レックバリ 閣下167 少尉 宿直の夜に娼婦を貴族司令官仮眠室に連れ込んでいた オディロンにより半身不随 不名誉除隊 ジェームズ 閣下181 ヘル隊所属 マルムグレーン大佐に連れていかれたイヴを心配して命令違反を承知で様子を見に来た アホカイネン 閣下181 ヘル隊所属 マルムグレーン大佐に連れていかれたイヴを心配して命令違反を承知で様子を見に来た ディルク 閣下180 ネクルチェンコ隊 汚ぇ染みついたトランクスをその辺に放置していた メイノ・リンデン准尉 閣下188 技術兵 担当は電池 オディロンにより肋骨3本を骨折 サロモン・コイヴィスト大尉 閣下202 軍医局所属の軍医 専門は外科 サンドラ 閣下214 ラハテーンマキ少尉 西方支部所属 イヴの同期 キース中将の大ファン キース少将の副官になったイヴに「カワッテー」と電報を送ってきた 癖のあるダークブラウンの長髪で、身長は女性としては高め トロイ先輩と結婚 ジークフリート・ヴァン・シュルヤニエミ 閣下237 中尉 初平民将官シュルヤニエミ少将の孫 イヴの同期 テレジアと結婚 面白みのなさが持ち味 堅実 ユスティーナ・ヴァン・スイティアラ 閣下260 28歳 少尉 子爵令嬢 イヴの同期 ガイドリクス国王の婚約者 サロヴァーラ侯爵家の養女 ティナ シベリウス少佐 閣下128 33歳 ヨーナス・ヴァン・シベリウス 騎兵隊 オリュンポス選手団副団長 馬術競技補欠 男の子三人に女の子二人の子持ち 声が大きい バックリーン軍曹 閣下276 イヴと射撃大会で優勝を競い合っておりイヴを敵視している 軍の専科学校で射撃を専攻 オリュンポスの射撃競技ではイヴを補佐 はっきりと断ることができるタイプの男 ユルゲン・トーデンダル 閣下276 少尉 イヴの同期 一人で巡回していたところを襲われ負傷 ナルヒ伍長 閣下278 ルカ・セロフがなりすましていた ウルスラ 閣下28 キースの副官 恋人 キースを逃がすために足止めを買って出て殺害される アイキオ中佐 番外26 ブリタニアス駐在武官 エリクソン曹長 番外27 レスリング代表選手 銅メダル ピューサロ伍長 番外27 ボクシングの代表選手 ジョゼ・ゴメスにTKOで負け銅メダル イソラ兵長 番外27 アレクサンダー・イソラ 円盤投げの代表選手 イヴから伝授された回転投法で金メダルを獲得 アレクサンダー投げとして名を残す カイタイネン兵長 番外27 マラソン代表選手 イヴの万全のサポートを受け金メダル キュロ上等兵 番外27 マラソン補欠 イェオリ・ラーネリード E2 少尉 イヴの同期 アーレルスマイアー大佐隊にて一小隊を任されている ゲレオン・ヴァルト・アイスラー E61 ガイドリクスの偽名 裕福な中産階級 翻訳者 軍属 一時的にユスティーナの部下になる ヴォルフガング・ヴァン・ホランティ E70 少佐 北方司令部所属 キース少将を妬んでいる 共産連邦基準の軌条に変わっていた一件の主犯 ドナート・カムスキー E79 軍曹 ヒースコート隊 誘拐されかかった執事に同行後イヴの護衛任務を命じられる グーデリアン E89 高級将校 実際はグーデリアンという人物は存在しない レコ・タイナ E97 中佐 キースとは不仲 ヌオリヤルヴィ准佐 E108 鉄道会社に出向している 有事の際はヌオリヤルヴィ准佐が鉄道を預かり、総司令官の指示に従う ソランデル E157 トロイ先輩の隣の席の男 コールハース少佐の部下 アンセルミ・ペルットゥラ E165 40代 大尉 兵站総監部輸送部門 デニスの上官 デニスの徴兵以前からの蒸気機関車仲間 ジークフリート E167 中尉 『男爵』先輩 伯爵家の四男 ヘルガ・ヴァン・モント Tw40 ハインミュラーの同期 王宮内の王族の私的スペースの警備責任者 財務大臣モント伯爵の娘
https://w.atwiki.jp/shfarts/pages/1149.html
ハルク 商品画像 情報 登場作品:アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン 定価:9,720円 発売日:2015年07月25日(土) 再販日: 商品全高:約200mm S.H.Figuarts アベンジャーズ スペシャルページ S.H.Figuarts マーベル スペシャルページ 付属品 手首:×2(右×1、左×1) 頭部:×1 その他:無し キャラクター概要 商品解説 良い点 悪い点 不具合情報 関連商品 アイアンマン マーク44 ハルクバスター アイアンマンマーク43 アイアンマンマーク45 キャプテン・アメリカ キャプテン・アメリカ(シビルウォー) ソー ウォーマシン マーク2 ウルトロン・プライム コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/34.html
駅前の不動産屋の前で、掲示されている物件情報を親の敵のように睨みつけている奴に出会った。 誰であろう、涼宮ハルヒである。 ハルヒは自分の行為によほど集中していたのか、俺が声をかけられるほど近づいても、まるでこちらに気付かないでいた。 やれやれ、今度は何を考えついたんだ? 大方、SOS団の駅前屯所を作るのよ!これから地の利ってのがものをいうんだからね、といったようなことだろう。 悪の芽は早めに摘むに限るな。といっても大げさなものじゃない、ちょっとばかり小言を言うだけさ。だいたい、こいつは物わかりが悪い奴じゃない(逆に物わかりが激しすぎるきらいはあるが)。ただ正面から否定すると意地になって、自分でもわかっちゃいるくせに上げた手が下ろせなくなるだけの話だ。 周りの迷惑を少々過小評価するきらいはなくはないが、こいつはこいつなりに自分を含めた「みんな」のためを思って画策したり陰謀したりしているのだ。つまりは、こいつなりの理も利もあるわけで、何も最初から全面対決、全面否定でなきゃいいのだ。ああ、おまえの気持ちはわからんでもないがな、ハルヒ。 「キョン?」 「はい?」 不意をつかれて間抜けな声をあげてしまった俺。 というか、ぼんやり考えているうちに近づき過ぎて、ハルヒのすぐ後ろにまで来ちまってるじゃないか。しかも不動産屋の、今ハルヒが睨みつけている掲示コーナーのガラスに、ばっちり俺の姿が映ってる。これでは、ぴかぴかのトランペットに心うばわれショーウィンドウにおでこをくっつけて凝視しているちびっ子はおろか、ミスうっかりさん部門でも、我が校ナンバーワンの位置に輝くであろうマイ・スウィート・エンジェルですら俺を誤認したり見過ごしたりしてはくれないだろうよ。 「よ、よお。ハルヒ」 「あ、あんた、なんでこんなとこ、いるのよ?」 「なんでって、ここは俺の通学ルートだ。おまえとも何度も歩いてるぞ」 「そんなことは知ってるわよ。あたしが言ってるのは……」 とハルヒはそこまで言って何かに気付いたらしい。オレの袖をひっつかんで、大股でのっしのっしと歩き出した。 転びそうになりながら、これも数百回目のシチュエーションなので、俺の足腰は篠原重工製の二足歩行ロボットのようなオートバランサーが働き、見事に持ちこたえて、ハルヒの横に並ぶよう、俺の体を支えて押し出した。 後ろを振り向くと、個人経営であろう小さな不動産屋のご主人が中から出てきて、こちらを、多分ハルヒの方を見ていた。 俺は、そのご主人と例の「どういう表情をしたらいいのか分からない時の怒り顔」をはりつけているハルヒの顔をかわるがわる何度か見た。 「なによ」とハルヒの怒りを含んだ声が俺の動きを止め、怒りを浮かべた目の方は俺の顔を睨みつける。 「ハルヒ、おまえ不動産投資に興味があるのか?」 「はあ?」 「冗談だ。部屋でも借りようってのか?」 「……まあ、そのようなもんよ」 ハルヒの怒り顔は、言い当てられたのが悔しいといった顔に変わる。 「最近、よく眠れなくてね」 確かに最近のハルヒは居眠りが多いな。一足早い「春眠暁に覚えず」って奴かと思っていたが。 「近所で深夜工事でもやってるのか? 季節外れの暴走バイクの運行ルートがおまえの近所を通るようになったのか?」 それにしても、それだけの理由で部屋を借りようなんて、お大尽な理由だ。というか、ハルヒがいざ寝ようと思えば、どこかの国際空港の一本しかないせいで忙しい滑走路でだって眠れるだろうに。 「あんたの、そのわざとやってるんじゃないのっていう鈍さには、時々殺意すら覚えるわね」 「ハルヒ、俺なんか食っても多分うまくないぞ」 「どうかしら? 少なくともあんたとこのお弁当もお夕飯も、嫌いじゃない味付けね。それを生まれてからずっと食べてるんだもの、さぞかし……」 「あー、できたら、キャッチ&リリースで頼む」 「本当の狩人はね、自分で食べる分しかとらないのよ!」 俺は半分は戯れに、あとの半分は反射的に、小さく両手を上げた。ハルヒはとびかかるためだろうか、わずかにさがって腕まくりのようなしぐさをする。万事休す。 「なんだって?」 「眠れないのは、あんたのせいだって言ってんのよ!!」 ハルヒは神足の速さで間合いをつめ、俺の襟首を自慢の豪腕で締め上げはじめる。 「あんたの鈍さが、わざとやってんじゃないことぐらいわかるわよ!だから余計に腹が立つんじゃない!」 ハルヒの腕から力が抜ける。崩れ落ちる俺の体。地面にぽたぽた落ちるハルヒの……。 「ハルヒ、おまえ?」 「バカキョン! ついてくんな!!」 走り出し際にハルヒが放った鞄は俺の額に命中。俺はアスファルトにヒザをつき、ずり落ちてくるハルヒの鞄をなんとか両手で受け止めた。 あいつが走り去った場所には、小さいが見間違えようがない水滴の跡。 ハルヒは泣いていた。 持ち主は泣きながら退場し、残されたのは鞄と謎、それに浮かんで消えないハルヒの泣き顔。どうしようかとしばらく途方に暮れた後、俺はこのまま帰宅するのでも、ハルヒの家に直接行くのでもなく、事の発端に戻ることにした。 「こんにちは」 「やあ、いらっしゃい。ああ、さっきの娘の?」 「はい。あの聞いてもいいですか?」 「いいとも。じゃあ、ちょっと待ってくれるかな。そろそろシャッターを下ろそうかと思ってたんだ」 駅前の小さな不動産屋は、やはり店主一人で切り盛りされていて、夕方5時を過ぎると閉店なのだという。 「さっきの娘さんなら、このところずっと来てるよ。10日くらいにはなるかな。土、日は時間が違うけども」 「こういうのって守秘義務があるのかもしれませんが、あいつ何を?」 「それがわからなくてね。あの娘、ああやって物件情報をにらんで入るが、一度も店の中に入って来ない。時々、さっきみたいに声をかけようとすると、それに気付いてか、ぷいっと行ってしまう」 「……」 「確かに高校生が自分だけで部屋を借りるってわけにはいかないしね。親が同意して保証人になってくれないと。これこそプライベートなことになるけど、あの娘、家族と……」 「いや、うまくいってると思います。俺の知る限りじゃ」 「そうかね。あの娘の見てるところから察すると、おおかた学生向けのマンションなんだろうと思うんだけどね。君たち、制服からすると、北高でしょ? うちが扱うのは近辺の物件だし。家が引っ越すけど、彼女だけ通い続けようとでもいうのかな?」 俺は、ハルヒと俺の鞄をつかんで立ち上がった。 「ありがとうございました。あの、また来ます。必ず。今度はあいつと一緒に」 不動産屋の店主はにこにこと見送ってくれた。 「それがいい。待ってるよ」 それからの俺の計画は、(1)ハルヒに会う、(2)そして真相を聞く、である。コトバにすると単純だが、口で言うほど簡単ではない。まず、あの天の邪鬼の行方をどう突き止めるか、そしてどうやってあの韋駄天に追いつくか、が問題だ。 可能性をつぶしていくしかない。あの意地っ張りが、鞄なしで泣き顔のまま帰るとは考えにくい。家に今日誰もいないなら、まっすぐ帰る可能性が高くなるが、自宅に電話するとハルヒの母さんが出た。やっぱりハルヒはまだだという。 そうなると、あいつがどこで時間をつぶしているかだ、短くない付き合いだ、あいつの考えそうなことが分かっちまって、嫌になるな。あいつが本気になれば、何年だって誰にも見つからずにいることだってできるだろうが、何しろあの天の邪鬼だ。絶対に見付けることができる場所に、それも俺だったら見付けられない訳がない場所に、もしも見付けられなかったら俺が自己嫌悪にどっぷり浸かりそうな場所に、あいつはいる。 「早く見付けなさいよ! あたしに風邪引かす気?」 とかいう幻聴まで聞こえるような気がする。見つかった時のあいつの第一声だって想像がつくさ。 「おそい!いつまで待たせる気よ!」 ああ、末期的だぜ、まったく。 「おそい!いつまで待たせる気よ!」 明かりが水銀灯だけになった公園のベンチを背にして、腰に手をあてて、それ以外は仁王様のように突っ立ってる奴がいる。やれやれ。 「わるいな。これでも全速力なんだ。不動産屋のおっさんと話し込んだ分がロスタイムだな」 「何話してたのよ?」 「ただの茶飲み話だ」 俺は自転車を降りて、一歩近づいて言った。 「あと、次はおまえと一緒に来るって言っといた」 また一歩。 「何、勝手なこと言ってるのよ!」 「俺に関係があるんだろ。俺が一緒に行かないでどうするんだ?」 そして、もう一歩。 「あんた、自分が言ってること、わかってんの?」 「いや、実はさっぱりわからん。だから聞きたくておまえを捜したんだ。聞かせてもらえるんだろうな?」 「うちの親も、あんたの親も、反対するに決まってるわ! もちろん、あんたも!」 「かなりひどいことらしいな。そんなこと、おまえだけ独り占めとは、ずるいぞ」 「馬鹿言わないで! 冗談じゃないのよ!」 「だから真面目に聞いてるだろ。鈍いアホキョンにも分かるようにちゃんと言えよ」 もうハルヒとの距離は数歩しかない。 「なんで眠れないのか? なんで部屋を借りたいのか?」 「あんたが悪いのよ、あんたが!」 その数歩をハルヒは一気につめてくる。俺の胸に体当たりして、ぽかぽかとなぐってくる。 「あんたのせいよ! あんたがいないと眠れないのよ!」 「……」 「あんたの背中があったら、あんたの息づかいが聞こえたら、いくらだってぐーぐー眠れるのに! あんたの家に行って、ご飯食べて、勉強して、遅くなって、あんたが家まで送ってくれて、その後あたしは一睡もできない! 朝になって、あんたが迎えに来てくれるのを、夜中じゅう待ってる。だから! ・・・あんたと一緒に眠れて、あんたと一緒に目が覚める場所があったらって。いっしょに暮らすとか、そんなのは無理、わかってるわよ! 未成年だし、お金だってないし、またあんたの気持ちも確かめず、あたしだけ暴走してるし。で、でも、でもね、キョン・・・」 「……奇遇だな」 「え?」 「おまえが家に来て、飯を食って、それから勉強して、遅くなって、おまえを家まで送って行って、家の前で別れて、おれは一人で帰るんだが、帰って自分の部屋に戻って、部屋の明かりを消すと、おまえがさっきまでいたのが、暗いからかえって、すごくよくわかるんだ。体温だとか、匂いだとか、気配だとか、とにかくそんなのが。それで俺は眠らないで、朝が来るのを待って、支度したらすぐ家を出て、おまえのところへ行くんだ」 「……キョン?」 「なあ、ハルヒ。俺たち確かになんでも自分勝手にやれる訳じゃないが、自分たちがどうしたいかぐらいは、ちゃんと言葉で大人に説明できると思う。話にならなかったらその時はそれで、もう少し悪いやり方だって取れるだろ」 「……キョン」 「だからな、ちゃんと俺を巻き込め。ひとりで抱えるな。それぐらいのことはしていいと思うぞ、俺たち」 「……ごめん」 「あやまるな。さあ、どうすんだ? これからおまえの家に乗り込んで話をしてもいいし、逆にうちに先にくる手もある。なんだかんだいって、おまえはうちの連中に気に入られてるからな」 「……それをいうなら、キョン、あんただってうちじゃそれなりのものよ」 「それなり、ね」 「というわけだから、キョン、早速うちへ向かいましょう。夕飯ごちそうするって言い出すに決まってるから、料理の間にあたしが『下ごしらえ』しとくから、夕食後うちの親をきっちりと説得してね。ああ、そうそう。今日は珍しく親父が早く帰ってくるみたいだから、手間が省けるわ」 「おいおい」 「期待してるわよ、キョン! あたしたちの大事な未来がかかってるんだからね!」 泣いたカラスがもう、って奴か。やれやれ。 ハルヒは早速回復した100ワットの笑顔で、俺の手首をしっかり握って、前に歩き出した。 →ハルキョン家を探す その1 ハルキョン家を探す その2 ハルキョン家を探す その3 ハルキョン家を探す その4 ハルキョン家を探す その5
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1604.html
古泉「機関では色々とイベントも行っています。」 キョン「ヘーソウナンダー。」 古泉「明日は賞金付きのサバイバルゲームが開催されます。賞金は300万円となってm」 キョン「待て。それはマジな話か。」 古泉「大マジです。ただ個人戦のみで参加料として一人5000円が必要なのと…」 キョン「…なのと?」 古泉「新川さんが全9回中8回優勝しています。」 キョン「なんか納得…って後の1回は誰だ?」 古泉「森さんです。」 キョン「!?」 結局俺はそのイベントに参加することにした。 なにしろ300万だぜ? まかり間違って勝ってみろ、これからしばらく、SOS団集会での奢りが楽にn ……俺は心底奴隷根性が身についてしまったのか? ハルヒ「というわけで! 優勝はSOS団がもらうわよ!」 キョン「個人戦だっつってんだろ」 ハルヒ「SOS団のメンバーなら、誰が勝ってもSOS団の勝利なのよ!」 キョン「そうかよ」 長門「……?」 キョン「おい長門、銃口を覗き込むな。使い方がわからないのか? 朝比奈さんは?」 みくる「あっ、あたしは一応、映画のときに……」 キョン「そういやそうだったな。長門、これはな……」 ハルヒ(む……なによ有希の手取り足取りしちゃって。むかつくなぁ) ハルヒ「あたしもよくわかんないんだけど」 谷口「ああん? しょうがねーな、俺が」 パンパンパン! 谷口「ぎゃー!」 ハルヒ「ふーん。なるほどね。こうすればいいんだ」 谷口「がはああ……至近弾を顔面かよ……」 パンパンパン! 谷口「ぎゃーーーー!」 長門「理解した。原始的武器をモデルにした玩具」 国木田「谷口、大丈夫?」 谷口「はぁはぁ、チャックを全開にしてなきゃ危ないところだったぜ」 新川「……大佐、これはどういうことだ?」 大佐「どうやら涼宮ハルヒが手下を引き連れて参加しているようだ。 せいぜい閉鎖空間が出来ない程度に楽しませてやるんだな」 新川「了解……それと大佐」 大佐「なんだ、スネーク」 新川「誰がスネークだ。それで……勝ってしまってもいいのだろう?」 大佐「……許可する」 古泉「ではこれより、第10回メタルギア争奪戦を開始します」 キョン「なんだそのメタルギアっつーのは」 みくる「そっ、そんな! 機関がそんなものを手に入れていたなんて……」 キョン「知ってるのかライデ……朝比奈さん」 みくる「詳しくは禁則事項ですが、凄い兵器です。歴史で習いました」 キョン「そんなものを奪い合うのか」 古泉「あ、ハリボテですし単なる雰囲気アイテムですからご心配なく。 ストーリーは南米の……」 ハルヒ「早くルール説明しなさい!」 古泉「失礼。簡単に説明しますと、最後の一人になるまで殺しあってもらいます」 キョン「結局バトルロワイアルかよ」 第10回メタルギア争奪戦ルール ルールその1:機関のことは口にするな。 ルールその2:機関のことは絶対に口にするな。 ルールその3:個人戦だ。誰も信用するな。 ルールその4:銃弾や刃が胴体・頭部に命中したものはデッド。 ルールその5:戦場のあちこちに武器が落ちている。使え。 ルールその6:敗者のアナルに関しては当局は一切保障しない。 谷口「まずは生き残ることを考えないとな……」 国木田「最後の二人になるまでチームプレイに徹すればいいんだね」 谷口「その通りだ。一人より二人が有利なのは絶対だからな」 国木田「おーけー。まかせてよ谷口。ところでチャックは閉めないの?」 谷口「よせよ。まだ始まったばかりだぜ?」 国木田「意味がわからないよ」 ハルヒ「よーし! いい? 同じ団員だからって遠慮なく撃つからね!」 キョン「まて。最初は協力し合ったほうが……」 ハルヒ「それじゃ散会! 次にあったときは敵同士よ!」 みくる「えっ、えっ!?」 キョン「だから待てって……もういねぇ! 長門もいねぇ! 古泉もいねぇ!」 みくる「ふぇえええ」 キョン「……しょうがない。朝比奈さん、しばらく二人で行動しましょう」 みくる「は、はい……よろしくお願いします」 ハルヒ(むっ……なんでみくるちゃんと一緒なのよっ! なんかむかつく……) キョンの妹「あ、ハルにゃーん」 ハルヒ「あら。妹も参加してたの?」 シャミセン「にゃあ」 ハルヒ「ふーん。それじゃあしばらく共闘する?」 キョンの妹「うん!」 11 23 05 ジャングル 長門「……」 多丸兄「ふっ……来たな宇宙人」 多丸弟「我らの変幻自在の攻撃に耐えられるかな?」 長門「……!」 多丸兄「アナル!」 多丸弟「ブレイク!」 パンパンパン! 長門の銃口が火を噴くが、弾丸は木の葉を散らすだけ。 多丸兄弟は木の上を飛び回り、ひとところにとどまろうとはしない。 しかも兄弟ゆえのコンビネーション、兄が前にいたかと思えば次の瞬間上から弟が攻める。 これが谷口であったなら瞬殺ものだが、しかしそこは長門、二方向からの攻撃に冷静に対処だ。 木の陰岩の陰を利用し、攻撃の方向を意図的に一方からに制限しはじめたのだ。 多丸兄「ほう」 多丸弟「さすがだな宇宙人」 多丸兄「だが防御ばかりでは勝てんぞ」 多丸弟「くっくっく……」 長門「……」 言うとおり、長門の放つ弾丸は多丸兄弟にいまだかすりもしない。 キョンから最初にインチキ禁止を言い渡され、長門の運動能力はハルヒと互角程度に抑えられているのだ。 長門は空になったマガジンを捨て、新たに弾丸を装填した。 最後のマガジンだ。これ以上の無駄弾は撃てない。 精密射撃は長門の得意とするところだが、動き回っているものに当てるのは思ったほど簡単ではない。 止まっているものになら――妙案が浮かんだ。 だが、やはり2対1の差は厳しい。せめて隙をつくことが出来れば―― 多丸兄「くくく、ジリ貧だな宇宙人!」 多丸弟「さあ、とどめだ……なに!?」 多丸兄「どうした弟よ!」 多丸弟「貴様はっ――ぐわあああああああ!」 木の上から落下する多丸弟。さきほどまで弟が立っていた枝には、長い髪を揺らす美少女が―― 多丸兄「仲間か――!」 好機。狙うならば今しかない。 多丸兄の声は、長門からは死角になっている木の陰から発せられている。 多丸兄が隠れているであろう場所から、空中に目視で線を引き、角度を計算し、狙いを定める。この間1.2秒。 長門「……!」 ぱん! かん! びしっ! 多丸兄「がっ!」 くぐもった呻き声を上げ、多丸兄も落ちていった。 側面の幹に当てた弾丸が跳ね返り、樹の陰に立っていた多丸兄のこめかみを打ち抜いたのだ。 長門「跳弾。わたしの勝ち」 長門が銃をおろす。そこへ先ほど多丸弟をナイフ(スポンジ製)で刺し倒した美少女――朝倉が駆け寄ってきた。 朝倉「やったわ、さすがわたしのリボルバーナガット!」 長門「……オートマチック」 谷口「なんか悲鳴が聞こえたな」 国木田「そうだね。誰か戦ってるのかも」 谷口「迂回しようぜ。少しでも生き延びて、チャンスを待つのが賢い戦い方だからな」 国木田「そうだね。ところでチャック……」 谷口「ちっ、川だ。向こう岸に渡るべきか、引き返すべきか……」 古泉「まさかあなたと鉢合わせするとは。『陰謀』に出てきた敵組織の少女さん」 誘拐少女「へえ……古泉さん、でしたっけ。はじめまして、でしょうか」 古泉「お互い写真では見たことがあるはずですがね。機関に敵対する組織の貴方がなぜこの大会に?」 誘拐少女「……組織の運営費が……その……零細なもので……」 古泉「……大変ですね」 誘拐少女「なので勝たせて欲しいのです」 古泉「アナルしだいですね」 誘拐少女「は?」 古泉「しかし、実は女性のアナルにはあまり興味がありませんでしたよ。そういうことで、さようなら」 誘拐少女「あ、ちょ」 パンパン。 古泉「さて、僕のキョンタンはどこにいったんでしょうねぇ……ふふふ」 キョン「ぞわー!」 みくる「キョンくん!? どうしたんですか?」 キョン「いや、なんだか……凄い寒気が」 みくる「だ、大丈夫ですか?」 キョン「まあ、気のせいですよ。しかし、ハルヒのやつどこにいったんだ。まったく……」 みくる(キョンくん、さっきから涼宮さんのことばっかり気にしてる……) 新川「こちらスネ……新川。市街地に侵入した」 大佐「よし。そこには喜緑とかいう宇宙人が既に待機しているはずだ。慎重に進め」 新川「了解。ダンボールのふりをする」 喜緑「なんだか長門さん達に変な大会に参加させられてしまいましたが……生徒会長?」 会長「まったくだな。古泉もわけのわからんことばかり……む?」 喜緑「どうかしましたか?」 会長「いや……あんなところにさっきまでダンボールなんかあったか?」 喜緑「さあ……」 ダンボール「……」 喜緑「ちょっと中を開けて見ましょうか」 ダンボール「……!」 喜緑「それ、がばっ」 パンパンパン! 喜緑「……無念」 会長「なっ、貴様は!」 ダンボール「ふっ……ネイキッド(全裸)新川参上」 会長「ま、まて! いったいなんの……」 新川(全裸)「正体を見られたからには仕方が無い。アナルをもらう」 会長「よ、よせっ、うわあああ! アナルだけは!! アナルだけは!!」 大佐「首尾はどうだスネーク」 新川「一名射殺、一名アナルショックだ大佐」 大佐「よし。アナルはビデオには収めたな? 後で見せてもらう」 新川「あんたも好きだな……」 大佐「ふっ」 12時。現在の脱落者がアナウンスされる。 新川「む……多丸兄弟が負けたのか」 大佐「長門有希だ。それともう一人、朝倉涼子……やはり強敵だな」 長門「……」 朝倉「まさか喜緑さんがやられるなんて」 長門「能力を制限すればありうる。気をつけて」 朝倉「まかせて。わたしは長門さんを勝たせるためだけにここにいるのだから」 古泉「……まさか会長のアナルを先に奪われるとは。僕も狙っていたのに……許せない! 会長のアナルを責められるのはそうはいない。きっと新川さんでしょう。……どうやら、 僕も本気で戦わないといけないようですね……」 みくる「誘拐少女って、もしかして……」 キョン「朝比奈さんを誘拐したヤツか。なんでそんなのまで参加してるんだよ」 みくる「ひょっとしてあの、怖い未来の人も……」 キョン「大丈夫ですよ朝比奈さん。どんなヤツが相手だろうと、俺が守ります」 みくる「キョンくん……」 ハルヒ(ぬあーーー!! なんでキョンとみくるちゃんがいい感じに見詰め合ってんのよ! 本当だったらそこにいるのはあたしでしょおっ!) 妹「どうしたのハルにゃん」 シャミセン「にゃあ」 ハルヒ「……なんでも。いきましょ」 妹「キョンくん撃たなくていーの? 撃ったら勝ちのゲームだよね?」 ハルヒ「……後でいいわよ、あんなやつ」 妹「?? はーい」 谷口「昼飯にしようぜ。うまいこと川で魚が釣れたからな」 国木田「まったく、チャック全開のおかげだね」 それは影としか表現できなかった。 密林の中を失踪する一塊の影。 漆黒のメイド服に身を包んだお下げの美女。 森園生―― 12 17 22 山岳地帯 ハルヒ「つり橋か……」 妹「ちょっと怖いねー」 ハルヒ「手をつないでわたりましょ」 妹「うん――」 ハルヒ「――!」 気配を感じてハルヒが銃を構えるよりも早く、 妹「――ハルにゃんっ!」 森の手にした刀が妹の首筋に触れていた。 ハルヒ「ちょ、そんな物騒なもの……!」 森「ご安心を。スポンジ製です」 妹「ハルにゃーん……」 ハルヒ「人質ってわけね……」 森「まさか。わたしが人質を取らなければあなたに勝てないとでも?」 妹「えっ――?」 森が刃を引き、妹はあっさりと脱落した。 ハルヒ「くっ――この!」 パンパンパンパン! 夢中で銃を撃つが、弾丸は全て宙へと消える。すでに森の姿はつり橋の上に無い。 ハルヒ「どこに――」 森「ここです」 ハルヒ「――!」 足元――! 反射的にハルヒは飛びのいた。 木製の橋を貫通し、下から刀が飛び出してくる。 ハルヒ「ちょ、ちょっと! スポンジじゃないの!?」 森「刀はスポンジ――切れるかどうかは、わたしの技術しだいでございましょう――」 ハルヒ「んなっ!?」 無茶苦茶な話だが、事実スポンジにしか見えない刃が分厚い木の板をぶち破って飛び出してくるのだから信じないわけには行かない。 一方ハルヒの弾丸は全て木の板に阻まれ、その裏にいる森には届きそうも無い。 ハルヒ「くっ、なんのゲームよこれっ!」 ザク! ザク! ザク! 橋の下から飛び出す刃を反射神経だけで回避しながら、ハルヒは毒づいた。 ハルヒ「あたしはドムが好きなの!」 ドムっ! ハルヒ「じゃあケンプファー!」 ゲスっ、ブっ、バァン! ハルヒ「無理があるわよっ!」 森「しかも音がアナルっぽいですね」 ハルヒ「し、しるかーーー! こうなったら一か八かよ! シャミセン、あたしの足を掴んで!」 シャミセン「にゃ、にゃあ!?」 ハルヒ「とりゃあああああ!」 シャミセンに脚をつかませ、つり橋から身を投げるハルヒ。 上下逆になったハルヒと、橋の下にしがみついている森の視線がぶつかる―― パンパンパン! 森「ちっ――!」 カンカンカン! 全ての銃弾を刀で弾き飛ばす森。 ハルヒ「くっ――シャミセン、引き上げて!」 シャミセン「にゃあ(無理)」 ハルヒ「ひゃああああああああああああああああああああ!」 シャミセンとハルヒは落ちていった。 森「……まあいいでしょう。次にあったときこそ、あなたの最後です」 谷口「なんだかアチコチでぶつかりあってるみたいだな」 国木田「そーだねー」 谷口「お。なんだこのキノコ。うまそうだな」 国木田「ちょっと、ダメだよ谷口。なんでもかんでも口に入れちゃ」 谷口「うめー。うめーよこれ。お前もくってみろって」 国木田「しょうがないなぁ……あ、うまい」 12 14 09 ジャングル それはまるで死神のように。 ジャングルを歩いていた古泉の後ろから、音も無く細い女の腕が伸び、 古泉「……!」 気がつけば首筋にナイフの刃が押し当てられていた。 朝倉「ふふ……ジ・エンドね古泉君」 妖艶に微笑む朝倉。 だが、古泉も不敵な笑みを崩さない。 ほんのちょっと朝倉が手に力を込めるだけでゲームオーバーだというのに、まだ何か策があるのだろうか? 古泉「朝倉さん……ちょっと僕の話を聞いてもらえませんか?」 朝倉「命乞い? 無駄だと思うけど」 古泉「機関が長門さんに注目していることはご存知で?」 朝倉「……まあ、知っているわ」 古泉「長門さんの私生活盗撮写真――」 朝倉「見せて」 朝倉はあっさりとナイフを収めた。 古泉「まずヌルいところから。寝姿」 朝倉「きゃー! 長門さんの寝顔っ!!! こ、これでヌルいのっ!?」 古泉「もちろん。入浴シーン、トイレシーン、そしてなんと……もあります」 朝倉「ぶばーーーーー(鼻血)! はやく、はやく!」 古泉「じゃあ後ろを向いてもらえますか?」 朝倉「こう?」 古泉「はい、ありがとうございました」 ぱん。 朝倉「……卑怯者ぉ」 長門「役立たず」 朝倉「なっ、長門さぁん! 違うの、これは……」 長門「古泉一樹。一騎打ちを申し込む」 古泉「いいでしょう。いずれはぶつかりあわねばならない相手ですし……不足はありませんよ」 朝倉「あ、あのね、わたし、あの……」 ぱんぱんぱん! 朝倉「ぎゃーーーー!」 長門「邪魔」 古泉「いきますよ――!」 長門「!」 古泉の姿が消えた。 古泉「これこそ機関が開発した光学迷彩! ふふふ、長門さんに僕の姿が見えますか?」 足音に向かって銃を撃つ長門。 古泉「あいてっ。や、やりますね」 長門「あたったら脱落」 古泉「脚ですから。まだ続行で」 長門「そんなルール聞いてない」 古泉「えー。あとでキョンタンのアナル写真あげますからー」 長門「……了解した」 朝倉「ちょっと! 卑怯よ!」 パンパンパン。 朝倉「ぎゃーーーーー!」 長門「邪魔。死んだら黙ってる」 朝倉「ふえーん」 古泉「それでは……ふふふ、見えない恐怖を味わってください長門さん」 長門「――」 今度は足音を立てないように動き始める古泉。 こうなっては、古泉が攻撃してきたときしか、位置を特定することは出来ない。 長門は大きな木を背にし、古泉の攻撃が正面から来るように誘導する。 古泉(やりますね長門さん。これではうかつに攻撃できない。狙うなら頭上からですが、 かといって僕の実力では、樹に登ろうとしたときに気づかれて撃たれてしまう。さて――) だが長門も、そして古泉も気づいていなかった。頭上に潜んだ伏兵の存在に。 ハルヒ「うひゃああああああああああああ!」 シャミセン「にゃああああああああああああああ!」 長門「!?」 古泉「!?」 ぐしゃ。 哀れ、長門はつり橋から落下してきたハルヒとシャミセンの下敷きになってしまった。 ハルヒ「あいててて……」 長門「きゅー」 ハルヒ「あ。有希みっけ」 パン。 長門「……無念」 朝倉「な、長門さぁーん!」 ハルヒ「あ。朝倉もみっけ」 パンパンパン。 朝倉「ぎゃーーー! あたしもう死んでるってばーーー!」 古泉(好機! いまなら涼宮さんは僕の存在自体に気づいてない! ふふふ……強敵を一度に始末できるなんて僕はついている! さあ、覚悟してください涼宮ハルヒ! そして僕のキョンタンから 永遠に忘れ去られるがいい!) シャミセン「にゃー(俺には匂いで分かるんだぜ、ボウヤ)。がぶ」 古泉「ぎゃあああああああああああああ!」 ハルヒ「あ。古泉君もみっけ」 ぱんぱんぱん。 古泉「あ、アナルむねーーーーーーん!」 ハルヒ「シャミセン、お手柄!」 シャミセン「にゃあ」 13時。新たに脱落したメンバーが発表される。 新川「古泉……ビッグアナルのアナルクローンであるお前が破れるとはな」 大佐「リキッドアナル古泉のことは忘れろ。ヤツのアナルは柔らかすぎた」 新川「ああ……」 キョン「おいおい、なんで妹が……何時の間に紛れ込んでたんだ?」 みくる「知らなかったんですか?」 キョン「まったく。怪我してなきゃいいけどな」 みくる「大丈夫ですよ」 誘拐少女「ケーキだそうですよ。妹さん、どうぞ」 妹「わーい」 喜緑「おいしい紅茶ですね」 多丸兄「脱落組みはすることないからねー。くつろいでてよ」 喜緑「そういえば会長の姿が見えませんが?」 多丸弟「あー……彼は、そう、ちょっとトレイじゃないかな? しかも大のほう! ははは」 多丸兄「はははは」 会長「やめろ! よせ! アナルだけは!! アナルだけは!!」 大佐「ふははははは!」 谷口「ヘビうめー。ワニもうめー」 国木田「なんだか僕たち、さっきから一回も戦ってないね」 谷口「漁夫の利を狙うのよ。知将だな、俺は」 国木田「池沼? 言いえて妙だね谷口」 谷口「わはははは。おまえも食え、ワニうめーぞ」 国木田「ほんとだ、これイケるね」 谷口「これでチャックはあと10年は全開のままだな!」 国木田「よかったね谷口」 陰謀未来人「半数近くが脱落か……ふん。そろそろ僕の出番のようだな。これも規定事項か」 キョン「あ、陰謀の未来人」 みくる「あんな目立つ崖の上で仁王立ちになってなにしてるんでしょうね」 キョン「だよなぁ。狙い撃ちだぜあれじゃあ」 みくる「あ、撃たれた」 キョン「あ、落ちた」 みくる「……」 キョン「……」 新川「大佐。陰謀の未来人をドラグノフで狙撃した」 大佐「よくやったぞスネーク。だが気をつけろ、森がそちらに向かっている」 新川「森か……ヤツには日ごろこき使われているからな」 大佐「くれぐれも……バレるなよ」 新川「ああ。まかせておいてくれ」 ハルヒ「よーし。これで残ってるのはあたしとシャミセン、キョンにみくるちゃん、 それに森さんと新川さんだけね」 古泉「残念です。もう少しでキョンタンのアナルが僕のものになったのに」 ハルヒ「あんたそんなこと考えてたの?」 古泉「ですが新川さんは強敵ですよ。彼のダンボールは見抜けません」 ハルヒ「なにそれ」 古泉「ふふふ。いずれ貴方も新川さんの恐怖を知ることになるでしょう」 ハルヒ「いいわ。どんなヤツが相手でも、あたしは負けない! ううん、SOS団は負けないんだから!」 長門「……」 古泉「まっさきに分散して、自分で団員を各個撃破してる気がしますが、まあいいでしょう」 朝倉「長門さーん、喜緑さんがお茶にしませんかって」 長門「行く」 ハルヒ「ま、ゆっくり観戦してなさい。あたしが勝つから!」 長門「……頑張って」 森「……出てきなさい新川。ダンボールの中に隠れているのは分かっています」 新川「ちっ……」 森「相変わらずネイキッド(全裸)のようですね」 新川「女のアナルに興味は無い。失せろ」 森「不思議なことがあります」 新川「なんだ?」 森「あなたはまるで、この戦場のどこに誰がいて、どこにどんな武器や道具が隠されているか 知っているような動きをとっている」 新川「……兵士の感だ。長年戦場で暮らしていると、そういうものが身に付く」 森「ではその裸体にベルトで括り付けている小型通信機は?」 新川「――バレたからには死んでもらう」 森「新川ァ!」 新川「もりいいいいいいいいいいいい!」 新川の構えたマシンガンが火を噴く。 だが森はその銃弾全てを刀ではじきながら、距離を詰めた。 森「銃などに頼っているうちはわたしには勝てません!」 新川「ぬぅ!」 森「覚悟――!」 ばしぃん! 振り下ろした森の刀を、眼前、新川は両の手で挟み止めていた。 森「真剣白羽取り! 実践でこれを使いこなすとは――新川、腕をあげましたね!」 新川「ふんっ!」 ぱきぃん! 森「刀を――!」 折られた刀をすばやく放棄し、森はメイド服の裾から細長い剣を数本、指に挟んで抜き出した。 新川「黒鍵か!」 森「とあっ!」 森の投げた黒鍵が新川を貫いた――ように見えた。が。 森「これは金ケシ!? 身代わりの術!」 新川「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!!!!」 横合いから放たれた新川のペガサス流星拳が森を打つ。 吹っ飛ばされる森。ダメージは深刻、勝ち目は薄い―― 森「……く」 新川「あきらめろ。俺には勝てん」 森「ふふふ……なるほど。この装備では殺しきれませんね」 新川「!」 森「また会いましょう新川」 脱兎のごとく逃げ出す森。 逃がすわけには行かない、冷静になられたら負ける、この熱が引かないうちに勝負を決しなくては――! 新川は慌ててドラグノフを構えたが、森の姿はジャングルの闇に隠れ、すぐに見えなくなってしまった。 一方その頃、キョンとみくるは物陰から二人の戦いを眺めていた。 キョン「……あいつら人間じゃねえ」 みくる「どどどど、どうしましょうキョンくんっ」 キョン「どうするもこうするも……スナイパーライフルでもあれば、狙撃のひとつもするんですけどね」 みくる「どどどど、どうしましょう、ドラグノフ拾っちゃいました、あたし!」 キョン「なんで早くそのことを言わないんですか」 みくる「だ、だって、やっぱり人を撃ったらいけませんよ!」 キョン「いまはそんなことを言ってる場合じゃないでしょ! 早くドラグノフをかしてください!」 みくる「は、はいっ!」 キョン「よし、照準を――あれ?」 こつん、とキョンの頭に銃口があたる。 みくる「ひっ……き、キョンくん、よ、横に……」 新川「戦場で大声を立てるとはな。とんだ素人だ」 キョン「ははは……じょ、冗談だろう新川さん」 新川「ここは戦場だ。油断した兵士に与えられるものは、死しかない」 みくる「ひいいいっ!」 ??「まつっさ!」 みくる「!?」 新川「……現れたな」 キョン「そ、その声はまさか……!」 みくる「つ……」 ちゅるや「ちゅるや参上!」 「「「エーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」」」 ちゅるや「スモークチーズはどこだいキョンくん?」 キョン「さっき食べたでしょ」 ちゅるや「にょろーん」 パン! キョン「ちゅるやさぁーーーーん!」 ちゅるや「にょろろーーーん!」 新川「邪魔が入ったが、次は小僧、貴様の番だ……む?」 みくる「う、動かないでください!」 震える手で銃を構えるみくる。 上下にゆれる銃口は、キョンの頭に銃を押し付けている新川を狙っている。 新川「やめておけ。そんな細腕では銃の反動は抑えられん。どこに飛ぶかわからんぞ。 自分の手でこの小僧の頭を吹き飛ばしたくなければ、銃を捨てろ」 みくる「あああ、あたしだって、こんなときのために銃器の練習はしてきてるんです! が、ガン=カタの餌食になりたくなかったら、キョンくんを離してっ!」 ガン=カタは拳銃を総合的に 使用する格闘技である (゚д゚ ) (| y |) この格闘技を極めることにより… ( ゚д゚) ;y=‐ ;y=‐ (\/\/ 攻撃効果は120%上昇 ( ゚д゚) ;y=‐ (\/\ \ ;y=‐ 防御面では63%上昇 ー=y;― | (゚д゚ ) ー=y;_/| y | ガン=カタを極めたものは無敵になる! ー=y; ( ゚д゚) ;y=‐ \/| y |\/ うそだった。はったりだ。 未来からのエージェントとはいえ、みくるはそんな戦闘訓練など積んでいない。 それでも、少しでもキョンが逃げられる隙を作れれば―― 新川「嘘だな。ならなぜセーフティを外さない? それでは弾は出ない」 みくる「え?」 みくるが自分の銃に目をおろす。 セーフティは――外れている! それこそブラフだ! 新川「ふっ――!」 みくる「ひぇ――」 ハルヒ「うらああああああああああああ!」 ハルヒのドロップキックが新川の側頭部を打ち抜いた。 スローモーションで倒れる新川。 ハルヒ「全裸でなにやってんのよあんた! うちのみくるちゃんにセクハラするつもり!?」 みくる「はっ」 そういえば新川は全裸だった! いまさら思い出したようにみくるが両手で顔を隠す。 だが手遅れだ。みくるの脳裏には、すっかり新川のスーパーサイズドライが焼きついてしまっている。 キョン「ハルヒ……来てくれたのか」 ハルヒ「あ、あたりまえでしょ! あたしは団員がピンチだったらいつでもどこでも、すぐに駆けつけるわよ!」 新川「……ふ。やってくれる」 ハルヒ「まだ生きてたのアンタ。とっとと死になさい!」 ぱんぱんぱん! ハルヒ「あたった――って、ウソ……」 キョン「あ、アナルで全ての銃弾を受け止めやがった……」 みくる「いやーーーーー!」 新川「俺のアナルは大佐によって鍛えられ、あらゆる弾丸を止めることが出来る。BB弾ごときでは貫通せん」 ハルヒ「そんな……! キョン、あんたもアナルで対抗するのよ!」 キョン「アナルだけは! アナルだけは!!」 みくる「お、落ち着いてください二人とも!」 新川「ふふふ、やはりお前たち相手にエアガン一丁だけでは分が悪いな。アレを使わせてもらう」 キョン「あれ?」 新川「カモン! ダンボール!」 ゴゴゴゴゴ。 ハルヒ「なっ! 全長10メートルはある巨大ダンボール!?」 新川「合体!」 みくる「新川さんがダンボールの中に収納されましたっ!?」 新川「これこそ! わが機関が開発した究極の兵器・メタルギアだ!」 ハルヒ「……ダンボールが?」 新川「ふはははは! 強化ダンボール製の装甲はBB弾ごときでは貫通せん!」 キョン「なんだと!」 パンパンパン! カンカンカン! はじかれる銃弾! ハルヒ「ちょ、ちょっと! 卑怯よ!」 新川「さあSOS団よ! 怯えろ! 竦め! 何も出来ぬまま死んで行けぇ!」 きゅらきゅらきゅら…… ダンボールの中にキャタピラがついているのだろう、不気味な音を立てて迫る巨大ダンボール。 ハルヒ「こいつはピンチね……」 キョン「くそっ!」 キョンがドラグノフを構えるが、やはり弾丸は厚い装甲に阻まれてしまう。 ハルヒ「あーもう、ランチャーとかミサイルとか無いわけ?」 キョン「そんなもんあるかっ! これはゲームだぞ!」 ハルヒ「そんなこといったら、あっちだってゲームにこんなバカ兵器持ち込んでるのよ!」 みくる「け、けんかはダメですー!」 新川「ふはははは! アナルキャノン発射!」 ちゅどーん。 みくる「きゃーーーーー!」 キョン「朝比奈さん!」 ハルヒ「みくるちゃん!」 みくる「あはは……や、やられちゃいました……涼宮さん、キョンくん、この時代でお二人にあえて、あたしは……」 ハルヒ「喋っちゃダメ! 安静に……」 みくる「あ、あたしはもうダメです……それよりこれを……」 キョン「これは……水鉄砲?」 みくる「さっきドラグノフと一緒に拾ったんです……それを使って……がく」 キョン「あ、朝比奈さぁーーーーん!」 ハルヒ「くっ……キョン、みくるちゃんのカタキを討つのよ!」 キョン「しかしどうやって……」 ハルヒ「それよ! その水鉄砲! いくら強化されてるからって、ダンボールなんだったら水でふにゃふにゃになるでしょ!」 キョン「そうか、よし!」 ぴゅー。 新川「ぐわあああ! 装甲が溶ける!」 ハルヒ「いけるわ!」 新川「く……こうなったら!」 ハルヒ「えっ?」 ばんっ! がしっ! 突如ダンボールからマジックハンドが伸び、ハルヒの身体を掴み上げた! ハルヒ「あうっ!」 新川「くくく……このお嬢さんを真っ二つにされたくなかったら、銃を捨てろ小僧」 キョン「なっ!」 ハルヒ「キョン! 言うこと聞くことないわよ!」 キョン「く……ハルヒ……」 新川「バカめ。いくら装甲を溶かしたところで、俺に直撃を当てなければ勝ちにはならん。 水鉄砲ごときでどうにかなるとでも思っているのか?」 新川の言うとおりだ。 あの森園生をも退けた男に、キョンが水鉄砲で勝てるわけがない。 ハルヒ「だったら今は逃げて、武器を探すのよ! こいつを倒せる強力な武器がきっとどこかに落ちてるわ!」 新川「ふははは。健気なことだな。どうする小僧、このお嬢さんを見捨てて逃げるかね?」 マジックハンドがぎりぎりとハルヒの細い身体を締め上げる。 ハルヒ「きゃああああああ!」 キョン「やめろっ! ……わかった、銃は捨てる。だからハルヒを離せ」 ハルヒ「あ、こら、バカキョン! なにやってんのよアホーーー!」 キョン「アホでも構わん。勘違いするなよ。俺の知ってるハルヒは、どんな状況でも逃げろなんて命令は出さないはずだからな」 ハルヒ「えっ……」 キョン「涼宮ハルヒはいつだって前進征圧のバカ女だ。自分は帝王の星の元に生まれてきたと勘違いしてる大バカ野郎だ」 ハルヒ「キョン、ちょっとあんた、何言って……」 キョン「引かぬ、媚びぬ、省みぬ! それが涼宮ハルヒだ! 俺が死んでも、ハルヒが生き延びればSOS団は勝つ! だから――」 ガガガガガガ! ハルヒ「あ……」 アナルマシンガンに蜂の巣にされ、キョンがゆっくりと倒れる。 ハルヒ「うそ……いや、いやぁ! キョン、バカキョン! なにやってんのよぉ! あんたが死んだら、SOS団なんてっ……!」 新川「ふっはははは。愚かなりキョン。お前のアナルは後でゆっくりといただこう……だが、まずは涼宮ハルヒ。貴様もそろそろ脱落だ!」 ハルヒ「くっ……どのみちあたしもこれまでなの……? いいえ、違うわ。キョンが命をかけてまで時間を稼いでくれたんだもの、 こんなんで負けられない!」 新川「無駄な足掻きを――」 ハルヒ「しゃみせーーーーーん!」 シャミセン「にゃあ(まかせろ)」 シャミセンがマジックハンドにかじりつく。 新川「ぬっ! 猫ごときが、アナルアームを破壊できると……」 シャミセン「にゃあ(勘違いするなよオッサン。こいつを見な)」 新川「それはプラスチック爆弾!」 ハルヒ「シャミセン!」 シャミセン「にゃあ~(あばよハルヒ)」 カッ―― 閃光と爆音、強烈な振動と共にハルヒの身体が宙に放り投げられる。 ハルヒ「――っ!」 地面を転がり、身体にまとわりついたアームの残骸を振りほどいて、ハルヒはきつくメタルギアを睨み上げた。 ハルヒ「みくるちゃん、キョン、シャミセン……あたしは……勝つわ!」 新川「くっ……アームは破壊されたがな、どのみち貴様に勝ち目は無い!」 森「それはどうでしょう」 新川「なに!」 ハルヒ「森さん!?」 森「あなたの粘りがちです涼宮さん。これをお使いなさい」 ハルヒ「これは……この剣は、まさかエクスカリバー!」 森「ええ。これならメタルギアの装甲も貫通できます」 ハルヒ「で、でも……森さんはいいの? これがあれば、森さんが優勝できるのに」 森「わたしは自主的に脱落しました。新川はこの大会で不正を働いていたのです」 ハルヒ「え?」 森「新川は大会の主催者の一人である大佐と組み、戦場の情報を逐一通信機で受け取っていたのです。 彼らはそうやって優勝賞金を稼ぎ、アナルグッズにつぎ込んでいたんですよ」 ハルヒ「そんな! 卑怯だわ!」 森「ええ。ですがそのことに気づかなかったわたしにも責任はあります。ですから、今回はわたしも自主敗退ということで」 ハルヒ「そうなの……じゃあ、遠慮はいらないわ。使わせてもらうわね、この武器を!」 森「やってしまいなさい、涼宮さん。あなたは一人じゃない――」 ハルヒ「そうよ。あたしは一人じゃない。みくるちゃんが、キョンが、シャミセンがいてくれたからここまでこれた」 新川「おのれえええええええ! エクスカリバーごときに負けるメタルギアではないわ! 踏み潰してくれる!」 ごごごごご……大地を揺らし、メタルギアがハルヒに迫る……! 新川「ふははははははは! 怖かろう!」 ハルヒ「戦場で散った人たち! あたしの身体を貸してあげるわ!」 新川「な、なにぃ! ヤツの身体に光が集まっていく……な、なんなのだこれは!?」 ハルヒ「戦争をアナルとしか思えないあんたには分からないでしょうね! あたしの身体を通して出る力が! 人の心の光が!」 新川「人の心の光だと!? それが愚民どもにその才能を利用されているものの言葉かっ! 恥丘がもたん時が来ているのだ! それを分かるんだよアナルっ!」 ハルヒ「知るかヴォケ!」 新川「ええい、アナルのすばらしさを理解できんものと話す舌などもたん! 死ね――な、なんだ? 動かん!? どうしたのだメタルギア、動け、なぜ動かん!」 ハルヒ「エクス――――――」 新川「ハルヒィィィィィィィィィィィィ!」 ハルヒ「――カリバァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーー!」 ―― 轟音と共に白く染まる戦場。 閃光が収まった後には、真っ二つになったメタルギアと、 orzのポーズでうずくまっている新川の、真っ二つになった尻があった。 ハルヒ「……最初から尻は割れてるでしょ。あたしの勝ち、ね?」 新川「ああ――そして、私の敗北だ」 エピローグ みくる「涼宮さぁーん!」 ハルヒ「みくるちゃん! あーもう、泣かないの! あたしが勝つって言ったでしょ」 みくる「うええええん!」 キョン「まったく、ひやひやしたぜ」 ハルヒ「ふん。なによバカキョン。勝手にカッコつけて脱落しちゃってさ」 キョン「うるせーな。どうしようもないだろ、あれじゃ」 みくる「わわわ、けんかはダメですよっ! せっかく優勝したんですから!」 キョン「まあな。よくやったぜ、ハルヒ」 ハルヒ「……ふん。……あんたもね、ほんとはちょーっとかっこよかったかもね」 キョン「朝比奈さんが庇ってくれなかったら危なかったけどな」 みくる「そ、そんなぁー。あたしは別に……」 ハルヒ「……む」 キョン「ん? なんか言ったか?」 ハルヒ「ふんっ、バカキョンは罰ゲーム決定!」 キョン「んなぁっ!? なんだそりゃ、おい――」 ハルヒ「ふーんだ。今度のSOS団ミーティングまでたっぷり考えておくからね、覚悟してるがいいわっ」 長門「約束のものを」 古泉「はいはい。キョンタンのアナルですね……」 長門「満足」 朝倉「あ、あの、あたしの長門さんは?」 古泉「ああ、すみません。長門さんはガードが固くて、実はあの寝顔も偽造です」 朝倉「じゃあ、死んで」 古泉「アナルだけは!! アナルだけは!!」 シャミセン「にゃー」 妹「あ、シャミー帰ってきた。おつかれー」 ちゅるや「やぁ、シャミーくん、スモークチーズはどこだい?」 シャミセン「にゃあ(さっき食べたでしょ)」 ちゅるや「にょろーん」 多丸兄「おめでとう涼宮さん。これが賞金の300万だよ」 ハルヒ「ありがとうございます、多丸さん。今度また面白いイベントがあったら呼んでくださいね」 多丸弟「ははは、もちろんだよ」 キョン「あれ? 森さんや新川さんは?」 多丸兄弟「ははははは……」 森「はい、二人とも覚悟はできてますね?」 新川「アナルだけは!! アナルだけは!!」 大佐「アナルだけは!! アナルだけは!!」 森「懲罰!!!!!」 喜緑「大丈夫ですか会長」 会長「うう……俺はいったい何のために……」 誘拐少女「はぁ……」 陰謀未来人「つまらないな。こうもあっさり負けるとは。ふん。だがこれも規定事項だ」 誘拐少女「……アホですよね、あなた」 陰謀未来人「褒めるな」 ハルヒ「凱旋!」 キョン「おーう」 長門「……」 みくる「うーん」 古泉「どうかしましたか?」 みくる「なにか忘れてるような気がするんですけど……」 ハルヒ「なにいってんの! 優勝したし、賞金ももらったし、何も忘れ物なんてないわよ!」 みくる「うーん……それもそうですね。心配しすぎでした」 ハルヒ「さー、帰ったらぱーっと騒ぐわよ! なにしろ300万だからね! あーもう、使い切れない! ともかく! SOS団! 勝利っ、おめでとーーー!」 「「「「おおおおおおーー!」」」」 …… ………… ……………… 谷口「おーい国木田、カエルうまいぞー」 国木田「ねえ谷口。僕たちなんか忘れてない?」 谷口「ああん? チャックはちゃんと全開だし……あ!」 国木田「なんか思い出した?」 谷口「WAWAWAわすれもの~これ!」 国木田「あ、それってRPG-7だよね。どこで拾ったの?」 谷口「ついさっきそこで。こいつがあれば優勝はいただきだよな」 国木田「そうだね。ところでさっきの白い閃光ってなんだったのかなぁ」 谷口「さぁな。どっかで爆弾でも爆発したんだろ。なぁに、俺のチャックが開いてればヘでもないぜ」 国木田「さすが頼りになるなぁ。谷口についてきてほんとによかったよ」 谷口「さぁーて、もう少し潜伏して、ころあいを見て漁夫の利だぜ。まずはSOS団だな。 あいつらには積年の恨みがあるし、徹底的に叩いてやるぜ」 国木田「うーん、そういえば、さっきから脱落者の放送がないような気がするけど……」 谷口「おら行くぞ国木田!」 国木田「気のせいだよね。待ってよ谷口ー」 <エンディングテーマ 谷口グッマイラブ> チャック全開? WAO! ワスレモノ! チャック満開? HUU! ワスレモノ! マイラバー谷口 アナルミステリー グッドラブ谷口 アナルヒストリー フォーエバー ザッツライク 涙を拭いてあげる 想いは風に乗って グッマイラブ……
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5358.html
涼宮ハルヒのOCG③ (2008/9/1の制限改訂です) 「やっほー! みんな、新しい制限改訂が出たわよーーー」 団員全員が机に座って向かい合ってるという、いつもと少し違う日常を過ごしていた俺たちだが、その日常を変えるのが、ドアを蹴破るようにして部室に入ってきた我らが団長涼宮ハルヒ。まったく、もう少し静かに入ってきてくれ。ドアが壊れても俺は知らんぞ。 「さっきコンビニ行ってVJ買ってきたわ、みんな見ていいわよ?」 なんかえらくハルヒが上機嫌だな。とはいえ制限改訂となれば俺も気になる。前回は死者蘇生が戻ってくるなんていうハプニングもあったしな、どれどれ・・・。 新禁止が・・・早埋、混黒、次元融合とかか、まあ妥当だな。インスタントワンキルはもうこりごりだ。サイドラも制限か、世界大会での採用率が高かったらしいしこれも普通かな? 準制限と制限解除が・・・・ 「裁きの龍はライトロードというファンデッキのエースカードのはず、準制限は疑問。」 長門、それは流石に無理があるぞ。制限にならなかっただけでも喜ぶべきだ。 「・・・そう」 「ダムドが準制限でよかったあ。それに増援とディアボリックガイが解除です。これは私の時代が・・」 朝比奈さんがいつものメイド服のままはしゃいでいる。というか朝比奈さん、未来人ならこの制限改訂の結果も知ってたんじゃないですか? 「ふふ、禁則事項です☆」 朝比奈さんはいたずらっぽくウインクしながら、ハルヒのお茶を淹れる為に食器棚に向かっていった。今回の制限改訂、うーんまあ風帝が緩和されなかったのが俺としては残念だ。邪帝が無制限なら風帝ももう少し緩和を・・・、んっ、ちょっと待て、ダムドビートはダムドが準制限、ライトロードは裁きの龍が準制限。剣闘獣はどうしたんだ? 「どうやら○ナミも剣闘獣の規制に関してはお手上げだったようですね。」 頼んでもいないのに古泉がしゃべりだした。お手上げなんてことはないだろ、ガイザレスなりベストロウリィなりチャリオットなりを規制することはできたはずだ。 「そうは言われましても、もう発表されてしまったものはしょうがないです。僕としては、これで今日は閉鎖空間へ行かなくて済みそうなので大歓迎ですが。」 といいつつハルヒを見ると満面の笑みを浮かべている。やれやれ、この改訂もハルヒが願ったからなんて言わないでくれよ。 「さあみんな!デッキを新制限にむけて組みなおすわよ!キョン、あんたは大してデッキ変わんないんだから、有希やみくるちゃんが組みなおしてる間にあたしと勝負しなさい!」 よーし受けてたってやる。環境最前線ばかりが強いわけじゃないてことを教えてやるぜ。 「キョンのくせに生意気ね、マッチで勝ったほうがジュースおごりよ。ジャンケン、ポン!あたしの先攻!」 こうしてやたら白熱した放課後は過ぎていった。正直に言おう、けっこう楽しい。 カバンをとって部室をでようとすると誰かに袖をつかまれた。こういうことをやるやつは1人しかいない。 「どうした?長門。」 振り返ると黒曜石のような目をして俺をみているヒューマノイドインターフェイスがいた。何かいいたそうだな。 「今日、7時にいつもの公園に」 長門は透き通るような声でそれだけをいうと、すたすた歩いていった。またなんか事件か?ハルヒは今日終始ご機嫌なように見えたのだが。もしかしたら長門自身のことかも知れない。まあいずれにせよ、長門の頼みを断る理由なんてあるわけない。俺でも長門の役にたてるなら、なんだってやるさ。 家族には適当な言い訳をして俺はいつもの公園へとチャリをとばしていた。あの公園もいろいろあったものだ。まだ眼鏡だったころの長門との待ち合わせ、朝比奈さんとのタイムトラベル、さて今度はなんだろうか。とまあいろいろ考えてるうちに公園に着いた。だが、珍しいことに長門はまだ来ていなかった。まさか時間か場所を間違えたか?だが、まだ時間前だったのでベンチに座って待っていると、 「久しぶり」 背後から聞き覚えのある声がかけられた。と、同時に俺は身震いして声のした方へ身構えた。この声は・・・ 「5月以来?それとも冬以来かな?」 クラスの元委員長にして情報統合思念体急進派のインターフェース、消えたはずの朝倉涼子が立っていた。 「どういうことだ、なんでお前がまたここに?」 俺は少しずつ後ずさりながら言った。くそっ、部室にいた長門は偽者だったのか?いや表情を見る限りそんなことはなかったはずだが・・・ 「あれ、長門さんから聞いてないの?」 朝倉は微笑みながらゆっくりこっちへ近づいてきた。その手にはいつのまにかナイフが握られている。そして周りの風景はいつかの情報封鎖空間と化していた。やばい、マジでやばい。長門、来れるなら来てくれ・・・・ 「彼に説明するのを忘れていた。・・・うかつ。」 長門が俺のすぐ横にいた。長門、頼むからどういうことか分かりやすく説明してくれ、俺では理解できん。 「今目の前にいる朝倉涼子はあなたに害意をもっていない。彼女は一度情報連結を解除された後、思念体に回帰し派閥を変えて穏健派となった。穏健派になって以降の彼女とは私は定期的に連絡をとっていた。最近の活動内容を話したところ、彼女も興味をもち、今日はあなたとデュエルするためにここに私が呼んだ。だが彼女はまだインターフェースを持たない為、通常空間では長く存在することが難しい。よってこの空間を生成し、現在に至る」 長門にしては分かりやすい説明だ。だがなんで朝倉はナイフをもっているんだ? 「それは・・・」 「演出、そうよね?長門さん」 「そう。」 まったく勘弁してくれ。こっちは寿命が3年ほど縮まったような気がするぞ。 「驚かせてごめんね。で、さっそくデュエル始めない?」 朝倉は悪びれた様子も無く笑い、ナイフを捨てて(ナイフはすぐに消えた)言った。いや、別にやるのは構わないんだが、机も椅子も無いこの空間でどうやってやるんだ?というか俺はデッキをもってきてないぞ。 「私が今作成した。こっちがエキストラ。」 長門がデッキを俺に向かって差し出していた。スリーブの色までまったく同じだ。ちなみに茶色だ。朝倉は濃紺のようだ。 「方法は・・・せっかく情報封鎖空間にいるんだし、ちょっとリアルにやってみない?」 朝倉はそういうと例の高速詠唱を始めた。3メートルほど離れて対峙していた俺と朝倉それぞれの前に、半透明で空中に静止しているデュエルフィールドが現れた(なんかスペースがいつもより1つ多いと思ったら除外ゾーンだった。○ナミより気がきくんだな) 「やり方はいつもあなたたちがやってるのと全く同じ。ただ、モンスターや魔法・罠がCGで私たちの間に実体化されるだけ。それじゃ、準備はいい?」 こうなったら俺も男だ。売られた勝負は買ってやるぜ。それに今回は命の危険があるわけでもないしな。いざとなったら長門がいる。どうにでもなるさ。よし、いつでもいいぞ朝倉。 「ただ決闘普通に決闘やっても面白くないから、何か賭けをしない?」 賭けだと?別に構わないが、互いの命を賭けるとかは無しだぞ。 「もう、そんなこと言わないって。信用無いなあ、私」 とはいっても俺は二回もお前に殺されそうになってるんだ、そのくらいは警戒して普通だろ? 「二回目はここにいる私の意志と関係ないんだけどな・・・。まあいっか。負けたほうが勝ったほうの言うことを一つだけ有機生命体ができる範囲でなんでも聞く。これでいい?」 了承だ。ならジャンケンだ朝倉、先攻後攻を決めないとな。 「先攻はあなたにあげる。5月のおわびも兼ねて。」 少々詫びる観点がずれてる気もするが、くれるものはありがたくもらっとくぞ。俺の先攻、ドロー! ハーピイ・クイーンを攻撃表示で召喚。カードを一枚伏せてターンエンドだ。 「私のターン、ドロー。豊穣のアルテミスを攻撃表示で召喚。カードを3枚伏せてターンエンドよ。」 俺のターン、ドロー。やたら伏せカードが多いのが気になるな・・召喚権は残しておこう。バトルフェイズ、ハーピイ・クイーンで敵モンスターに攻撃だ。 「攻撃宣言時に伏せカードを発動するわ、次元幽閉。」 そうはいくか、こっちも伏せカードオープン、ゴッドバードアタックの効果でハーピイ・クイーンをコストに・・・ 「うん、それ無理。チェーンして魔宮の賄賂を発動。ゴッドバードアタックは無効ね。」 くっ・・・魔宮の賄賂の効果で1ドロー。逆順処理終了か。しかしこのCGシステムはリアルだな、本当に次元の裂け目にハーピイ・クイーンが吸い込まれていきそうになりやがった。ダイレクトアタックの時はどうなるのか、考えたくも無いね。 「魔宮の賄賂で罠カードをカウンターしたことにより、手札より冥王竜ヴァンダルギオンを特殊召喚するわ。残念ながらあなたのフィールド上にカードがないから効果は不発だけどね。」 なんだって、これは予想してなかったぜ。というか朝倉のデッキはパーミッションか。けっこう頭使うんだよな、このデッキは。 「さらに豊穣のアルテミスの効果で1ドロー。あ、安心して。このデュエル中、私は一切の情報操作は使えないわ。普段なら読もうと思えばいつでも読める有機生命体の情報をあえて読めなくすることによって駆け引きがうまれる。こんなに面白いことはないわね」 朝倉はニコリと微笑んだ。1学期当初に見ていた笑みとは違って、心から楽しんでいるような笑みだった。こいつもこんな笑い方するんだな。メイン2、裏守でモンスターをセット、カードを一枚伏せてターンエンドだ。 「私のターン、ドロー。ねえキョン君、私は派閥を移して長門さんと定期的に連絡をとるようになってから、昔はわからなかった感情とかがいろいろと理解できるようになったわ。パーミッションのデッキを組んだのも、相手との駆け引きがしたかったから。ただ単純にモンスター効果で攻めて倒すのは私にとってつまらないの。」 今日はよくしゃべるんだな、朝倉。別にしゃべるのは自由だがお前のターンだぞ。 「普段は長門さんとしかしゃべらないからね・・。少し嬉しくて。バトルフェイズ、ヴァンダルギオンで裏守に攻撃よ」 裏守は魂を削る死霊だ。こいつは戦闘では破壊されない。どうする朝倉? 「どうしようもないわね。1枚伏せてターンエンドよ」 俺のターン、一枚ドローして、メイン入るぞ。霞の谷の戦士を召喚。7シンクロで呼び出すのは、ブラック・ローズ・ドラゴン。誘発効果で全体除去を・・ 「モンスター効果にチェーンしてコストを払い天罰を発動。効果は無効に・・」 あまいぜ朝倉、こっちも天罰にチェーンして伏せカード発動!神の宣告だ。ライフを半分払って天罰を無効にする。 「そんな・・・。」 ブラック・ローズ・ドラゴンの効果は有効。よってフィールド上のカードは全て破壊だ(全体除去は爆発するんだな・・。これもなんかリアルだ)。俺はこのままターンエンドだ。 「アルテミスの永続効果でドローするわ。全体除去をした後にフィールドに何も伏せないの?こっちがモンスター召喚したらダイレクトアタックをうけるわよ?」 ああ、かまわん。これしかなかったんだ。パーミッションならモンスターもそう多くはないだろう。大丈夫だ、多分。 「私のターン、ドロー。残念、いいモンスターはひけなかったみたい。裏守をセット、カードを2枚伏せてターンエンドよ。」 正直助かった。ライオウとかでてきたらどうしようかと思ったぜ。やれやれ。俺のターン、ドロー、よしいいカードを引いたぜ。手札から(今ドローした)死者蘇生を発動、墓地のハーピイ・クイーンを蘇生させる、ハーピイ・クイーンをリリースして邪帝ガイウスを召喚、効果で裏守を除外するぜ。裏守は・・・・おっと危ねえ、マシュマロンだ。さらに墓地の風闇2体を除外してダーク・シムルグを特殊召喚!2体で攻撃だ。 「両方とも通すわ。けっこう痛いわね」 これで朝倉のライフは2800.俺は4000.どうなるかはまだ微妙なところだな。ターンエンドだ。 「ドロー、豊穣のアルテミスを攻撃表示で召喚、ターンエンドよ。」 俺のターン、朝倉の場には伏せカードが2枚。1枚はさっきの召喚・攻撃のときなにも発動しなかったからおそらくブラフだろう。問題はもう一枚だが・・・。あれが何かのモンスター破壊だったとしても、もう1体の攻撃は通る。伏せが少ない時にパーミッションは叩いとかないとまずいからな。ちなみに聖バリはさっきブラックローズの除去のときに墓地へ行ったのを確認してあるぜ。よし行くか、邪帝でアルテミスを攻撃! 「ダメージステップに速効魔法、収縮を発動するわ」 くっ・・・400のダメージか、だがこれは想定内だ。ダルシムで豊穣のアルテミスに攻撃だ! 「それも無理、ダメージ計算時、手札からオネストを墓地に捨てて効果発動よ」 うおっ・・これはやばい、やばすぎる。俺のライフは残り2000。オネストめ・・ああ忌々しいカードだ。だがまだ召喚権が残っていたのが幸いだったな。裏守を一枚セット、カードを一枚伏せてターンエンドだ。 「オネストは忌々しいカードではない。非常に有用。」 今まで黙っていた長門が急にしゃべりだした。どうやら俺が忌々しいって言ったのが耳に入ったようだ。まあそりゃ長門もライトロード使ってるんだし有用なのは分かるが・・・こっちとしては嫌なもんなんだぜ。 「・・・そう。でも環境を破壊するカードではない。」 そうだな。仕方ないなオネストは。分かったからこっちを微妙に睨まないでくれ長門。 「えーっと私のターンに入っていいかしら?」 ああすまん朝倉、デュエル中だったな。どうぞやってくれ。 「アルテミスで裏守に攻撃よ」 攻撃宣言時に聖なるバリアミラーフォースを発動だ。チェーンは・・ 「あるわ。罠にチェーンして神の宣告を発動。聖バリは無効にするね」 マジでくたばる5秒前、ずっと伏せてあったカードはブラフじゃないかったのか。やられたぜ朝倉。だがまだ俺のライフポイントは残るはすだ。 「罠カードをカウンターしたことにより、手札からヴァンダルギオンを特殊召喚。これで終わりね、キョン君。ヴァンダルギオンの攻撃!死になさい。」 まだだぞ朝倉、さっき破壊された裏守モンスターはネクロ・ガードナー。こいつを墓地から除外してヴァンダルギオンの攻撃は無効だ。間一髪、助かったぜ。 「惜しかったわね。ターンエンドよ。」 朝倉のライフは1400、俺のライフは400。朝倉のフィールドに伏せカードはない。だが、今の俺の手札では次のターン確実に終わりだ。朝倉の言うことを何か一つ聞かなくちゃいけなくなる。・・・長門がいるからそう無茶は言えないはずだが、そんなことより俺は負けたくないね。なんとかして勝ちたい。いくぜ、俺のラストターン、ドロー! きた。悪いな朝倉、この勝負俺の勝ちだ。 「手札にオネストがあるっていっても?」 朝倉はニコリとわざとらしく笑って言ったが、今の俺には関係ないね。オネストがあろうがなかろうが俺の取るべき方法は1つしかない。手札から魔法カード、地割れを発動。アルテミスを破壊するぜ。そしてハーピイ・クイーンとデスカリバーナイトを手札から除外して、ダーク・シムルグを墓地から特殊召喚! 「ヴァンダルギオンの攻撃力は2800。ダルシムじゃ勝てないわよ。」 ああ、わかってる。だが俺はまだバトルフェイズに入ってないんだな。ダーク・シムルグをリリースして、風帝ライザーをアドヴァンス召喚!起動効果でヴァンダルギオンをデッキトップに戻す。バトルフェイズ、風帝ライザーでプレイヤーにダイレクトアタック! 朝倉のライフが0になった瞬間、俺らの前に展開していたデュエルフィールドが消滅した。 「あ~あ残念。まさかあの状況から負けるとは思わなかったな。」 俺だって風帝を引かなかったら負けだったさ。まあデュエルの勝負はこういう逆転劇があるからこそ楽しいんだ。 「私の負けね。キョン君、何か1つ私に命令していいよ。賭けだからね。」 朝倉は柔らかく微笑んで言った。谷口がAAランク+をつけただけのことはある。心から笑ってる朝倉は朝比奈さんやハルヒにも劣らないほど可愛いね。さて、朝倉に何か命令・・・か。まあ言うことは決まっているんだが、どう伝えるか。 「あなたの思うことを言えばいい。私も賛同する。」 長門がそういってくれると心強いな。よし、なら言うぞ・・・ 「朝倉、命令だ。俺とまたデュエルしてくれ。」 朝倉はキョトンとして首をかしげた後、言った。 「今日はもう無理だけど、長門さんに頼んで情報封鎖空間をつくってもらえば私はいつでも・・・・」 そうじゃない。俺はこんな妙な空間でお前とデュエルしたいわけじゃないんだ。お前がまた北高に戻り、俺たちと一緒に普通の生活をしてほしい。ハルヒが世界改変を行ったとき、俺はみんなに会いたいと思った。そのみんなの中に、朝倉、お前も入ってたのさ。まあ教室でやるわけにもいかないだろうが、SOS団の部室に来ればいつでもできるさ。ハルヒには俺と長門から言っておけばなんとかなる。もしかしたらお前をSOS団に勧誘するかもしれない。これが俺の命令だが、どうだ?朝倉。 「私はそうしたいんだけど・・・統合思念体は・・・」 「今許可が下りた。一両日中に以前使用していたインターフェースを用意するとのこと。ただし能力は非常時を除いて制限される。」 決まりだな。長門、北高に転入してくるときはお前のクラスにしとけよ。 「なぜ?」 長門は黒曜石のような目でこっちを見てきた。何故かって?お前もSOS団にいる時だけじゃなく、クラスにも友達がいたほうがいいだろ? 「・・・・そう。」 長門は僅かにうなずいた。俺の目の錯覚じゃなければ、少し嬉しそうにみえた。 「この空間はあと33秒で崩壊する。」 長門は視線を朝倉へと移すと、淡々と告げた。周りを見ると、よくわからん幾何学模様が渦巻いてた空間が、徐々にいつもの公園の風景になっていく。 「今日はいろいろありがとう。キョン君、長門さん。私は楽しかった。」 見ると朝倉も徐々に光の砂になって消えていた。もう上半身しかない。 「じゃあね。それと・・・・・また明日。」 消える直前に朝倉は微笑み、消滅した。同時に空間も消えて、いつもの公園とベンチがそこにあった。 「・・・あなたのおかげ、感謝する。」 長門はそれだけ言うと、俺に背をむけて歩き出した。感謝するのはこっちの方だぜ、長門。お前が会わせてくれなかったら、朝倉は戻って来なかった。それにな、気を許せる同姓の友達ってのはどんなやつにもいた方がいいんだ。改変世界での朝倉は、お前のことをいろいろと気づかってた。最後に俺を殺そうとしたのも、長門を守る為だったんだろう。今となってはそう思う。 「パーミッションか・・・。やれやれ、明日も部室は決闘祭りだな。」 そう呟いて、俺は自転車にまたがって帰路へついた。 END